【5月9日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は、米軍の急襲作戦によって殺害された国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の最高指導者、ウサマ・ビンラディン(Osama bin Laden)容疑者が、パキスタン軍の拠点近くで数年間も潜伏生活を送っていたことについて、パキスタン政府に説明を求めたいと語った。米テレビCBSの報道番組「60ミニッツ(60 Minutes)」のなかで、ビンラディン容疑者の死後、初めて同件について語ったもので、8日にインタビューの抜粋が公開された。

 米政府は、パキスタン国内にビンラディン容疑者の支援ネットワークが存在したとみているが、この点について、オバマ大統領は、支援ネットワークにパキスタン政府関係者が関与していたかを確認する必要があり、この捜査はパキスタン政府自身が行うことが重要だと語った。

 一方、ビンラディン容疑者の3人の妻は現在、パキスタン当局が拘束している。米政府はパキスタン政府への不信感を払拭(ふっしょく)するためにも、アルカイダに関する重要な情報を握っているとみられる妻らへの接触を米捜査当局に許可するよう求めた。

 ビンラディン容疑者の殺害から1週間が経過し、多数の文書やPCデータが押収されているが、米高官らによると、パキスタン政府がビンラディン容疑者の隠れ家を知っていたという証拠はないという。

■潜伏場所は軍のお膝元

 米政府が「あまりにも、ありふれた場所に隠れていた」と表現するように、ビンラディン容疑者が潜んでいた邸宅は、パキスタン軍が駐屯する街にあり、士官学校からも1キロあまり、首都イスラマバード(Islamabad)からも、わずか56キロの場所にあった。この事実が、米国とパキスタンの関係に緊張を走らせている。

 核保有国であるパキスタンは、アフガニスタンでの戦いで米国と十年来の同盟関係を築いてきた。その一方で、国内では反米感情が拡大し、武装勢力による爆弾攻撃で、これまでに数千人が死亡している。

 また、パキスタン政府は1980年代、アフガニスタンに軍事介入したソ連への抵抗勢力としてタリバン(Taliban)を支援していた歴史があることから、米、アフガニスタン両政府とも、パキスタンを完全に信頼してはいない。(c)AFP/Michael Mathes

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