【4月22日 AFP】タイとカンボジアの国境付近で22日朝、両国の軍隊が交戦し、双方で各3人の計6人が死亡した。負傷者も10人を超え、タイ側の3人は重傷だという。

 戦闘は数時間続き、近隣の村の住民たちはタイ側に逃れたという。東南アジア諸国連合(ASEAN)の議長国インドネシアは、タイとカンボジアの両国に即時停戦を求めた。両国間の本格的な戦闘は、タイとカンボジアの国境未確定地域にあるヒンズー教寺院遺跡「プレアビヒア(Preah Vihear)」周辺の戦闘で10人あまりが死亡して国連(UN)が双方に停戦を呼びかけた2月以来。

 タイとカンボジアの双方は、戦闘の責任は相手側にあると主張している。

 タイのプラウィット・ウォンスワン(Prawit Wongsuwon)国防相はAFPに、「先にカンボジア側がライフルで攻撃してきた。さらに砲撃を加えてきたのでわれわれも応戦した」と述べ、カンボジアは国境付近の寺院遺跡を手に入れようとたくらんでいると非難した。

 カンボジア政府は「カンボジア軍が駐留している寺院にタイ軍が進軍して挑発的な攻撃を行った。これは新たな侵略であり断じて受け入れられない」と語っている。

 カンボジア内戦時代の地雷が多く残っていることもあり、タイとカンボジアの国境はいまだに確定していない部分がある。国境未確定地域に建つプレアビヒア寺院は、アンコール・ワット(Angkor Wat)に次ぐクメール朝(9~13世紀)時代の重要な遺跡。プレアビヒア寺院が2008年7月、世界文化遺産に指定されて以来、両国関係は緊張している。(c)AFP/Anusak Konglang