【4月21日 AFP】(一部更新、写真追加)最高指導者ムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐の政府軍による包囲が2か月近く続くリビア西部ミスラタ(Misrata)で20日、英国の戦場カメラマンでドキュメンタリー映画監督でもあるティム・ヘザリントン(Tim Hetherington)氏(41)と、米国人カメラマンのクリス・ホンドロス(Chris Hondros)氏(41)が、取材中に砲撃を受けて死亡した。ともに取材していたカメラマン2人も負傷した。

 4人は、ミスラタ市内の主要幹線道路で反体制派と政府軍の攻防の中心地となっているトリポリ通りで取材中、迫撃砲による攻撃を受けた。

 ヘザリントン氏と契約していた娯楽誌「ヴァニティ・フェア(Vanity Fair)」が、同氏の死亡を確認。ホンドロス氏が所属するデジタル画像配信社ゲッティイメージズ(Getty Images)も、AFPの取材に対し、同氏が砲撃で頭部に重傷を負い、病院に運ばれたが数時間後に死亡したことを確認した。

 2か月にわたる政府軍と反体制派の戦闘を取材中に死亡したジャーナリストは、これで3人となった。

■アカデミー賞やピュリツァー賞候補の著名カメラマン

 ヘザリントン氏は紛争地帯での取材経験が豊富で、2007年にはアフガニスタンの前線で疲れ果てた米兵を撮った写真が世界報道写真大賞(World Press Photo Award)を受賞。同氏が製作・監督を務めた長編ドキュメンタリー『レストレポ~アフガニスタンで戦う兵士たちの記録~(Restrepo)』はアカデミー賞にノミネートされた。

 現地の状況をツイッター(Twitter)で発信していたが、19日に投稿した「政府軍に包囲されたミスラタにいる。政府軍の無差別砲撃を受けている。NATO軍の姿はない」が最後のつぶやきとなった。

 ホンドロス氏もコソボやアンゴラなど各地の紛争取材を重ねてきたカメラマンで、ピュリツァー賞(Pulitzer Prize)にノミネートされたこともある。2006年には、イラクでの取材が高く評価され、優れたフォトジャーナリストに贈られるロバート・キャパ・ゴールドメダル賞(Robert Capa Gold Medal)を受賞した。(c)AFP/Dominique Soguel