【4月10日 AFP】ホスニ・ムバラク(Hosni Mubarak)前大統領らを汚職の罪で訴追することを求める群衆が集まっていたエジプトの首都カイロ(Cairo)のタハリール広場(Tahrir Square)に9日未明、軍の部隊と警官隊が突入し、デモ隊と衝突した。保健省によると、この衝突で少なくとも1人が死亡し、71人が負傷した。死者は2人で、負傷者は18人だという医療関係者からの情報もある。

 タハリール広場で死者が出たのは、この広場が2月11日のムバラク前大統領の辞任につながった18日間におよぶデモの中心地となった後では初めて。エジプトを暫定統治している軍最高評議会は、いまのところムバラク前大統領とその側近を訴追していない。

 軍は、兵士4人とデモ隊9人が負傷したと発表したが、兵士はデモ隊に暴力をふるっておらず、死傷者は投石によるものではないかとの見方を示した。一方デモ隊側の目撃者は、機動隊の支援を受けた軍の兵士たちが主に空に向けて実弾を発射し、デモ参加者を殴打したと話している。

 カイロ市内はいまでも午前2時から午前5時までの外出禁止令が出されているが、タハリール広場には8日から、軍最高評議会による改革は遅すぎると抗議する群衆が集まり緊迫した状況になっていた。(c)AFP/Samer al-Atrush