【3月24日 AFP】国連安保理決議に基づく多国籍軍の対リビア軍事作戦は24日、6日目に突入し、現地のAFP記者によると首都トリポリ(Tripoli)で同日早朝、対空砲火や複数の爆発音が聞こえた。

 最高指導者ムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐のリビア政権軍は23日、反体制派が掌握する複数の都市を戦車で攻撃、民間人が相次いで避難している。一方、英司令官がリビア空軍は戦闘能力を失ったと述べるなど、多国籍軍の攻撃目標はカダフィ派の地上部隊に移りつつある。

■「リビア空軍は戦闘能力失う」

 国連安保理決議(UNSCR)1973に基づきリビアへの軍事攻撃を行っている各国は、空爆の成果を高く評価している。英空軍で作戦を指揮するグレッグ・バグウェル(Greg Bagwell)司令官は23日、リビア空軍はほぼ全滅し「もはや戦闘能力はない」と述べた。

 目撃情報によると、首都トリポリから東に約32キロの住宅街タジュラ(Tajura)地区にあり、リビア軍の最重要拠点となっている軍基地で大きな爆発があったほか、戦闘機の爆音と対空砲火の音はトリポリでも聞こえた。国営ジャマヒリヤ通信(JANA)は、多国籍軍の攻撃によりタジュラで「多数の」民間人が死亡したと伝えた。

 タジュラは、多国籍軍の攻撃初日の19日にも爆撃を受けている。

■住民保護のため地上部隊を標的に

 米軍のジェラード・ヒューバー(Gerard Hueber)海軍少将は、反体制派が掌握する都市にカダフィ政権軍の地上部隊が迫っているため、これらを攻撃対象としていることを明らかにした。

 カナダ軍は23日夜~24日朝にかけて初の攻撃参加をし、リビア第3の都市ミスラタ(Misrata)で武器庫を爆撃。米ホワイトハウス(White House)のベン・ローズ(Ben Rhodes)副補佐官によると、多国籍軍はリビア東部のベンガジ(Benghazi)でカダフィ政権軍を後退させたように「ミスラタでも民間人を守ることに重点を置いている」という。

 目撃者および反体制派報道官によると、カダフィ政権軍は23日夜、カダフィ派が拠点とするミスラタの病院を戦車で攻撃した。「状況は非常に悪く、深刻で、戦車が病院や住宅を砲撃している」(反体制派報道官)という。

 また、東部の戦略的要衝アジュダビヤ(Ajdabiya)でも、逃げてきた住民たちによれば砲撃や銃撃戦が続き、住宅が燃えている。AFP記者によると、同市はたちこめる煙で薄暗く、断続的に爆発音が聞こえるという。

■NATOへの指揮権移譲は難航

 ただ、英仏米が主導する多国籍軍の今後の指揮権をめぐっては、各国の思惑が食い違っている。フランスは、アラブ諸国を疎外することのないよう軍事攻撃参加国による委員会の設置を主張。イタリアは北大西洋条約機構(NATO)による統一指揮権を要求している。

 NATO加盟国の軍艦がカダフィ派への武器禁輸を確実にするためリビア沿岸をパトロールする中、多国籍軍の指揮権をNATOに移譲する案は数日の激論の末、合意に至らなかった。NATO外交筋によると、加盟国は24日に改めて指揮権移譲について協議する。(c)AFP