【3月10日 AFP】英BBCの記者3人がリビアを取材中に拘束され、暴力を受けた上に処刑のまねごとまでされていたと、BBCが9日伝えた。3人は拘束から21時間後に解放され、現在はリビアを離れている。

 BBC Arabicのキラニ(Feras Killani)記者、英国人のコブスミス(Chris Cobb-Smith)記者、トルコ人のコラルタン(Goktay Koraltan)記者は、7日、ザウィヤ(Zawiya)の9.6キロ南の検問所で逮捕された。ザウィヤは、カダフィ政権部隊と反体制派が激しい攻防を繰り広げている場所だ。

「彼らは僕に個人的な恨みを抱いていたようだ。僕の名前も知っていた。彼らはBBCの番組をチェックしていたんだと思う。僕らが何者で、何をしているのか、知っていた」(キラニ記者)

 3人は兵舎に連行され、兵士や秘密警察の警官による度重なる暴力を受けた。棒で殴られたり、軍靴でけられたりしたという。

■短機関銃で模擬処刑、「とても怖かった」

 模擬処刑も受けた。コブスミス記者がBBC Middle Eastに語ったところによると、3人は壁際に後ろ向きに立たされ、短機関銃の銃口を首に押し当てられた。

「やつは僕の首に銃を押し当て、引き金を引いた。2発とも僕の耳をかすめた。兵士たちはただただ笑っていたよ」

「その後、1人の男がとても流ちょうな英語で、僕たちの手錠を外すよう命令した。彼は書類に何かを記入して、それで終わりさ。たばこ、紅茶、コーヒーでもてなされたよ。何か食べるかとも聞かれた」

 ただ、コラルタン記者は「とても怖かった」と打ち明けた。「僕らを殺して、アルカイダ(Al-Qaeda)か反体制派のせいにするんじゃないかと内心びくびくしていたよ」(c)AFP