【3月6日 AFP】(写真追加)リビアの国営テレビは6日、最高指導者ムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐に忠誠を誓う治安部隊が、複数の主要都市を奪還したと発表したが、反体制派は即座に否定した。  

 首都トリポリの東部と西部では戦闘が続き、銃声が鳴り響いている。数千人が避難する中、主要都市を攻撃している治安部隊が虐殺を行っていると非難されている。一方、英紙サンデー・タイムズ(Sunday Times)は同日、英特殊部隊がリビア東部のベンガジ(Benghazi)で、反政府勢力に拘束されたと報じた。

 リビア国営テレビは、リビア軍の部隊が、前日に反体制派が制圧した主要な石油産地「ミスラタ(Misrata、同国第3の都市)とラスラヌフ(Ras Lanuf)」を掌握したと伝えた。また東部トブルク(Tobruk)も再びリビア軍が制圧したとの情報もある。カダフィ大佐の出身地でリビア中部地中海沿岸のスルト(Syrte)や南部のセブハ(Sebha)、首都トリポリでは、カダフィ派の拠点で奪還の成功を祝っていると報じられている。

 ラスラヌフでは反体制派が報道を一蹴(いっしゅう)したが、そのわずか数分後に空爆があり、2発のロケット弾が撃ち込まれた。しかし、負傷者その他の被害はなかったという。AFP特派員によると、反体制派は検問所から対空砲で応酬し、石油施設付近にいた人たちは一斉に逃げ出した。道路から約20メートルと、検問所から50メートル地点にそれぞれ直径2メートルほどの穴が開いた。

 一方、主要な石油パイプラインのハブであるトブルクを政府軍が奪還したという情報についても、反体制派は否定している。同市の反体制派が指名した評議会のメンバーの一人、ファテ・ファラジ(Fateh Faraj)氏はAFPの電話取材に対し、東部アジュダビヤ(Ajdabiya)からエジプト国境までは、反体制派の支配下にあると語った。現地は静かで「何一つ起こっていない」という。

 反体制派は、地中海沿岸部で掌握している最も遠隔地であるビン・ヤワド(Bin Jawad)から、カダフィ大佐の出身地スルトまで、約150キロのデモ行進を行うと宣言している。5日、スルトへ進むのかとの問いに、ビン・ヤワドにいた反体制派の指導者の一人は「分からない。われわれ戦闘要員は全員、ベンガジから来た。8000人以上いる」と答えた。(c)AFP