【2月1日 AFP】イスラエル政府が、各国に駐在する自国の外交官に対し、エジプトのホスニ・ムバラク(Hosni Mubarak)大統領を支援するよう駐在国政府に働きかけるよう命じたと、31日の現地紙ハーレツ(Haaretz)が伝えた。

 ハーレツ紙によると、イスラエル外務省は「エジプトの政権の安定を維持することは中東全体の利益」になるだけでなく「欧米の利益でもある」ことを強調するよう外交官に命じた。この通達は米国やカナダ、中国、ロシア、欧州各国など少なくとも12か国の駐在外交官に伝えられたという。

 イスラエルの外務省報道官と首相報道官は、AFPの取材に、このような指示があったことについては確認も否定もしないと述べた。

 エジプトでの反政府デモをめぐっては、ベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相が公式な発言をしないよう閣僚に求めていると30日に述べるなど、イスラエルはこれまで控え目な行動をとっていた。ネタニヤフ首相も、推移を慎重に見守っている、という以上の発言はしていない。

 しかし、ハーレツ紙は、イスラエル政府はエジプト問題に対する欧米の公式見解に不満を持っているとイスラエル政府高官が示唆したと伝えた。

 米政府と欧州当局はムバラク大統領の退陣までは求めていないものの、エジプトの民主化への移行を呼びかけ、平和的な抗議デモを認めるよう要請している。このイスラエル政府高官は、「米国人と欧州人は世論に引っ張られており、各国の真の国益を十分検討していない」と語ったという。

 さらに同高官は、「仮に欧米がムバラク政権に批判的であったとしても、欧米はその友人たちに孤立感を感じさせてはならない。ヨルダンとサウジアラビアは西洋の反応を見ている。誰もがムバラク大統領を捨てようとしていることを見ている。そしてこれは非常に深刻な意味合いを持つことになるだろう」と語ったという。(c)AFP