【11月16日 AFP】コレラ感染が深刻化しているハイチで15日、激しい抗議デモがあり、デモ隊と国連(UN)平和維持軍が衝突、少なくとも2人が死亡した。16日未明になっても混乱が続いている。

 衝突はハイチ第2の都市カパイシアン(Cap-Haitien)と同国中部アンシュ(Hinche)で発生。群衆は、コレラの感染源がネパールからの派遣部隊だと非難して投石を行った。また、警察署が襲撃され、建物や車両が放火された。地元ラジオによると、デモ隊の非難は、政府のコレラ対策にも向けられているという。

 カパイシアンのカルティエ・モラン(Quartier-Morin)にある国連基地前では国連平和維持部隊がデモ隊に催涙弾を発砲、衝突で20歳の男性が死亡した。また、カパイシアンの路上で別の若者も銃撃を受け死亡した。医療関係者などによると、カパイシアンでは発砲で12人前後が負傷し、一部に重傷者も出ている。

■国連「抗議デモには政治的背景」

 コレラの感染源は、ハイチ中部ミルバレ(Mirebalais)にあるネパール部隊宿営地の汚水処理タンクだとの声が上がっており、国連も調査に乗り出していた。コレラ感染が広がったのは10月中旬。ネパールの部隊はこの直前にハイチ入りしていた。もっとも世界保健機関(World Health OrganizationWHO)は、感染源特定はいま最優先すべき問題ではないとしている。

 一方、国連ハイチ安定化ミッション(MINUSTAH)は15日夜、声明を発表し、一連の抗議行動は政治的な動機に基づいたものであると説明。11月28日に予定される大統領選挙を前に治安悪化をねらったものだと述べ、「民主主義と安定の敵」に操られないよう国民に呼び掛けた。

■死者数917人、さらに拡大の懸念

 ハイチにおけるコレラ感染拡大は半世紀ぶり。すでに917人が死亡し、いまも1日に50人以上が亡くなっている。感染者は約1万5000人に上った。国連高官によれば、コレラ患者はハイチに10ある県のすべてで確認されている。

 ハイチ北部では200人、カパイシアンでは100人が死亡。カパイシアンでは、親たちが感染を恐れて子どもの通学を拒否しているため、学校も閉鎖している。

 また、支援機関なども感染者が今後飛躍的に増加するとみている。関係者らは首都ポルトープランス(Port-au-Prince)周辺の衛生状態の悪い難民キャンプにコレラが侵入すれば、感染が爆発的に拡大すると危ぐしている。(c)AFP/Clarens Renois