【10月19日 AFP】ロシア・チェチェン共和国(Chechnya)の首都グロズヌイ(Grozny)で19日朝、武装集団が議会を襲撃して警備員らに発砲、議員らを人質にとった。治安部隊との銃撃戦の末、武装集団は全員死亡した。武装集団は最大で4人だったとみられている。

 チェチェン共和国のラムザン・カディロフ(Ramzan Kadyrov)大統領は、インタファクス(Interfax)通信に対し、チェチェンの治安部隊が20分間の作戦で武装集団を殺害し、議員と職員を解放したと語った。議員らは全員無事だという。インタファクス通信によれば、治安部隊はカディロフ大統領が自ら指揮した。

 内務省によると、襲撃で同省治安部隊の隊員3人と民間人職員1人が死亡した。また、ロシア検察捜査委員会によれば、この事件で17人が負傷した。現地の報道によれば、武装集団メンバー2人が爆弾で自殺、残りのメンバーは銃撃戦で死亡した。

 ロシアのラシド・ヌルガリエフ(Rashid Nurgaliyev)内相は、偶然にもグロズヌイを訪問中だったが、治安部隊の作戦は成功だったと説明した。ロシア政府によれば、フランスを訪問中のドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)大統領には電話で状況を報告しているという。

■分離独立派とロシアの戦い

 ロシア政府は、ソ連崩壊後、北カフカス地方の分離独立派武装勢力との戦いを続けており、1994~96年には分離独立派武装勢力との間で第1次チェチェン紛争となった。

 しかし、1999年の第2次チェチェン紛争が起きてからは、武装勢力はイスラムに傾倒し、同地域でのイスラム国家建設を目指すようになった。

 ロシアによるチェチェンでの10年間におよぶ「反テロ」作戦は2009年4月に終結したが、専門家の中には時期尚早だったとの声もある。

 チェチェン共和国は過去数年間、カディロフ大統領の強権のもとで比較的治安が良い状態が続いているものの、襲撃事件は相変わらずよく起きている。(c)AFP/Vitor Vilaskas