【5月15日 AFP】14日にタクシン・シナワット(Thaksin Shinawatra)元首相派「反独裁民主統一戦線(UDD)」(通称「赤シャツ隊」)と治安部隊が衝突したタイの首都バンコク(Bangkok)の一帯では、15日も銃撃や爆発が続いた。

 14日にデモ隊と軍部隊の大規模な衝突のあった一帯では、15日も銃声が響き、炎上した車のタイヤから煙が立ち上る中、デモ隊と軍部隊が相対した。現地のAFPカメラマンは、UDDのデモ隊が立てこもっている地域の北部の路上で、新たに3人の遺体を確認した。死亡の経緯は明らかになっていないが、付近にはタイ軍が設置した「実弾射撃区域(live-firing zone)」を宣言する標識があった。

 政府は14日、金融街や観光客に人気のスアンルム・ナイトバザール(Suan Lum Night Bazaar)もある主要道路や大使館のある地域で、デモ隊を排除する作戦を実施した。しかし、警察によると多数のデモ参加者が現在も同地域に残っている。

 また、タイ当局の緊急センターによると、14日の衝突でタイ人16人が死亡、外国人3人を含む141人が負傷した。また、13日夜にも1人が死亡している。同センター関係者は「市内での衝突は14日深夜まで続いたため、死者数はどんどん増えている」と述べた。同センターの死者数には、AFPカメラマンが遺体を確認した3人は含まれていない。

 なお、14日に負傷した外国人3人のうち、取材中に銃で撃たれ重傷と伝えられたフランスの国際ニュース専門テレビ局「France 24」のカナダ人カメラマンが治療を受けている病院の関係者は15日、このカメラマンは危険な状況を脱したと語った。

■日本大使館職員らが一時閉じこめられる

 日本大使館関係者によると、14日夜、外交官や地元タイ人スタッフら日本大使館の職員ら110人が在バンコク日本大使館に閉じこめられていたという。タイ外務省に救援を求め、軍部隊が大使館に派遣される事態となった。

 兵士らに誘導されて14日午後9時(日本時間同日午後11時)ごろ、大使館スタッフの半数が避難し、残りのスタッフらは15日になってから自力で大使館を離れた。

 日本大使館は「赤シャツ隊」のデモ隊と軍部隊が衝突した地区の中心部にある。米国の在外公館も衝突発生地域にあり、13日に窓口を閉鎖した。(c)AFP