【4月22日 AFP】韓国の聯合ニュース(Yonhap news)は22日、同国西岸沖の黄海(Yellow Sea)で前月26日に発生し、46人が死亡した同国海軍の哨戒艦「天安(Cheonan)」(1200トン級)の爆発・沈没について韓国軍当局は、北朝鮮の潜水艦が発射した魚雷が原因だったと判断していたと報じた。

 聯合ニュースは、軍情報部は弾頭200キロの魚雷を搭載できる北朝鮮の潜水艦が魚雷を発射して哨戒艦を攻撃したとの評価を下し、沈没の直後に大統領府と国防部に報告していたという匿名の韓国軍高官の話を伝えた。

 また、北朝鮮は前年2月から訓練を強化し、小競り合いではなく、ゲリラ的な挑発を仕掛けてくる兆候がみられていたという。聯合ニュースによると、韓国軍情報司令部は哨戒艦が沈没する前から、北朝鮮が攻撃を準備していると海軍に警告していた。

 国防部は報道についてのコメントを拒否した。

■「人間魚雷部隊」が攻撃か

 韓国政府はこれまで哨戒艦の沈没について北朝鮮を直接非難することは避け、「船体の外で起きた爆発」が原因だった可能性が高いとだけ発表していた。

 北朝鮮側も関与を否定していたが、韓国紙、朝鮮日報(Chosun Ilbo)は、北朝鮮が魚雷や浮遊機雷を搭載できる多数の小型潜水艦を配備した自爆部隊、いわゆる「人間魚雷部隊」を海軍内に組織していたという脱北者の話を伝えた。

 黄長ヨプ(ファン・ジャンヨプ、Hwang Jang-Yop)元北朝鮮労働党書記(87)は22日、同紙に対し、金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-Il)総書記が朝鮮半島に混乱を起こすためにこの種の「テロ」を準備してきたのは広く知られており、哨戒艦沈没の背後に金総書記がいるのは間違いないと語った。(ヨプは火ヘンに「華」)

 黄氏は、韓国が報復すれば朝鮮半島は北朝鮮の思惑通りにパレスチナのような戦場になると指摘し、韓国は決して軍事力による報復をすべきでないと強調した。(c)AFP