【10月19日 AFP】米ニューヨーク・タイムズ(New York Times)紙は17日夜、パキスタンでイスラム原理主義勢力タリバン(Taliban)に拘束されていたデービッド・ロード(David Rohde)記者の手記をウェブサイトに掲載した。このなかで、ロード記者は、タリバンの過激主義と、住民の支持の強さを過小評価していたと回想している。

 ロード記者は2008年11月、アフガニスタンでの取材中にタリバンに拉致され7か月にわたり拘束されたが、今年6月に自力で脱出し、無事保護された。

 手記のなかでロード記者は「アフガニスタンで7年も取材していながら、タリバンの多くがどれほど過激化していたか私は十分に理解していなかった」と語った。

 拉致される前、ロード記者はタリバンを宗教的動機に基づいて主にアフガニスタンの実権掌握を目指す、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)を小さくしたような組織だと認識していた。しかし拘束期間中に、タリバンが「アルカイダと手を組み、イスラム世界全体におよぶイスラム首長国を築く」という、遠大な野望を持っていることを知ったという。

 タリバンとパキスタンの諜報機関の間に結びつきがあったことや、パキスタン当局がタリバンの多くの活動を見て見ぬふりをしてきた事実は以前から把握していたというロード記者だが、当局の妨害を受けることなく繁栄するタリバンの「ミニ国家」を自分の目で見たときには驚いたという。

 パキスタンの南北ワジリスタン(Waziristan)では、主要道路に設けられたパキスタン政府軍の前哨拠点は全て放棄され、タリバンの検問所と化していた。ここで若いタリバン兵が、カラシニコフ(Kalashnikov)銃を携帯していない人や、タリバンの合言葉を正しく言えない人を拘束しているという。

 また、北ワジリスタンでの拘束中、ロード記者は、何度も爆発音を耳にしたが、これは、タリバンの戦闘員らが米兵や北大西洋条約機構(NATO)軍兵士らを殺害するための簡易爆発装置の製作や使用の訓練を受ける際の音だったという。

 そして、貧しく孤立した地域と信じられてきた部族地域が、実際はアフガニスタンの大半の場所よりも道路や電力などのインフラが整備されていたという。(c)AFP

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