【9月7日 AFP】中国・新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)のウルムチ(Urumqi)で注射針刺傷事件に対する大規模な抗議活動が起きたことを受けて、ウルムチ市の栗智(Li Zhi)共産党委員会書記が更迭された。後任には、朱海侖(Zhu Hailun)同自治区政法委員会書記が就任した。また、栗氏とともに自治区公安庁のトップも解任された。国営新華社(Xinhua)通信が報じた。

 ウルムチでは、一連の注射針刺傷事件に対する地元当局の対応への不満から、住民による抗議活動が2日に始まった。抗議活動ではこれまでに5人が死亡しているが、ウルムチ住民の間からは、地元当局幹部2人が更迭された翌日の6日になっても、さらなる措置を求める声があがっている。ウルムチでは、わずか2か月前にもウイグル人による暴動が起こり、漢人を中心に約200人が死亡している。

 ウルムチ市内は6日になって、平穏さ取り戻し始めており、通りには歩行者や車が見られるようになった。しかし、市内には武装した数千人の警官が配置されて、依然として緊張状態にあることを示している。市内のウイグル人地区では、歩行者に対する荷物検査が行われているほか、私服警官による警戒も続いている。

 中国当局は、注射針刺傷事件に関連して4人を逮捕したほかか、別の4人を起訴する見込み。ウルムチ市の検察幹部は、注射針刺傷事件のうちの1件について、47歳のウイグル人男性がヘロインを詰めた注射器で警官を襲撃したものだと明らかにした。また、別の事件では、ウイグル人男女の麻薬中毒者が、タクシー運転手を注射器で脅し、現金を奪ったという。2人はその後、逮捕されている。

 国営新華社(Xinhua)通信によると司法当局は6日、注射針を使った攻撃を行った者に対しては厳しい処罰を下す方針を示した。注射器から毒物や危険物が検出された場合には死刑もありうるという。これとは別に、同自治区トップの王楽泉(Wang Lequan)共産党委員会書記は、抗議活動の原因について、ウルムチ市内のショッピングエリアで、何者か4人に漢族の女性が注射針で刺されたことだと語ったという。

 また王書記は6日、「政策を説明し、問題を解決するため」7000人以上を市内の各家庭に戸別訪問させると発表したが、新華社は「分離・独立主義者のサボタージュを粉砕する」意図があると伝えている。(c)AFP