【9月4日 AFP】中国・新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)の区都ウルムチ(Urumqi)で3日、数万人が抗議行動を行い市内は騒乱状態となった。

 現地のAFP記者によれば、警棒や盾、一部は銃を携行した数百人の警官隊が道路に出ている。警官隊はイスラム教徒のウイグル人が多く暮らすウルムチの南部で特に多く、約200人の警官隊と軍のトラック数十台が人民広場で野営している。ウルムチに通じるすべての主要道路は封鎖され、警察は住民に外出禁止を命じた。

 国営新華社(Xinhua)通信は8月から相次いだ注射器による襲撃事件に抗議して数万人がウルムチ市内数か所に集まり、商店や市場が破壊されたと報じた。新華社によれば抗議行動は3日夜、1000人以上がウルムチの住宅地に集まって始まった。騒ぎは別の地区にも広がり、その際に男1人が子どもを刺したとして拘束された。抗議行動は市内の主要道路に拡大し、そのさなかにも注射器による襲撃事件が数件発生した。襲撃犯は警察に逮捕され、警察はこの襲撃犯を殴ろうとする群衆を制止したという。

■注射器使った襲撃事件が頻発

 地元のテレビ局によるとウルムチでは8月20日以降、注射器で襲撃されたという事件の報告が相次ぎ、その件数はこれまでに476件に上っている。当局はこれまでに漢民族やウイグル民族など9つの民族に属する人を襲撃した21人を拘束し、うち4人が逮捕された。拘束された21人の民族は明らかにされていない。襲撃を受けた人のなかに病気に感染したり、毒物の影響を受けたりした人はいないが、襲撃犯が注射器を使った理由とその中身は明らかになっていない。

 現地で診療所を経営する漢民族の女性はAFPに対し、「市内のどの交差点にも1万-2万人の人とたくさんの警察官がいる。警官は400-500メートルおきに100人以上が出ている」と話した。この女性は2日午後に抗議行動で「祖国を守れ」と叫んでいる声を聞き、3日になってその様子を目にしたという。参加者の大半は漢民族で、注射器による襲撃事件に抗議していたという。

 ウルムチ市内のホテルの受付係は、市内全域でインターネットの接続が制限されていると話した。またウルムチ中心部の女性会社員は、この2日間、市内は混乱を極めていると語った。(c)AFP/Dan Martin