【7月30日 AFP】米海兵隊による大規模なタリバン(Taliban)掃討作戦が行われているアフガニスタン南部ヘルマンド(Helmand)州ガルムシール(Garmsir)地区の砂漠地帯で21日、米・アフガニスタン両国の政府要人を招いての一大パフォーマンスが行われた。押収したケシの種をうず高く積み上げ、これを燃やそうというのだ。

 種はすべて、米海兵隊とアフガニスタン軍の共同作戦で押収されたものだ。兵士らが燃やそうとしたが、湿っているためになかなか火が付かない。そこでハリアー(Harrier)戦闘機が2つの山に大量の爆発物を投下。大きな炎とともにキノコ雲が立ちのぼった。

 同国の違法なアヘン産業は年間十億ドルを稼ぎ出しているとされるが、へルマンド州はその主要栽培地で、なかでも同地区はその中心的存在だ。ヘロインの原料となるアヘンは、同州を拠点にしているタリバンの主な収入源にもなっている。アフガニスタン当局によると、同組織には年間1億ドル(約95億円)が流れているという。

 来月の選挙で選ばれる新大統領には、アヘンの取締りを強化することが求められているが、アヘン取引が今や国内総生産(GDP)の3分の1に相当していることもあり、困難かつ複雑なものとなりそうだ。

 問題をより込み入ったものにしているのが、政府の上層部が取引に絡んでいるという半ば公然とした事実だ。来月20日の大統領選では州議会選挙も並行して行われるが、ヘルマンド州のマンガル(Mohammad Ghulam Mangal)知事は、立候補者の多くはドラッグ・マネーの支援を受けている可能性があると話す。

 また、再選を目指すハミド・カルザイ(Hamid Karzai)大統領の弟、アフメド・ワリ・カルザイ(Ahmed Wali Karzai)氏は、麻薬取引に関わったとして繰り返し非難されている。(本人は関与を否定)

■麻薬撲滅作戦、問われる効果

 アフガニスタンは、アヘンの世界生産高の90%以上を占めており、国連(UN)は同国の麻薬輸出額を年間34億ドル(約3200億円)と推定している。

 1996-2001年のタリバン政権下のアヘン産業は、アヘン価格の下落で衰退したが、2001年に米軍主導の多国籍軍がタリバン政権を倒して以後は、価格の上昇に伴い活況を呈している。

 国連の報告書によると、2008年の同国におけるアヘン生産高は過去最高を記録した前年よりも6%減少した。だが米国が長きにわたり主導してきた麻薬撲滅政策は目立った成果をあげておらず、岐路に立たされている。

 米オバマ政権でパキスタン・アフガニスタン問題を担当するリチャード・ホルブルック(Richard Holbrooke)特別代表は今年6月、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)前政権のケシ撲滅作戦は、農民の生活手段を破壊してタリバン支持者を増やしただけだとして、「全くムダだった」と強く非難している。(c)AFP/Charlotte McDonald-Gibson