【7月20日 AFP】インドネシアの首都ジャカルタ(Jakarta)で前週起きた連続外資系ホテル自爆攻撃への関与が疑われ、現在も逃走を続けるヌルディン・ムハンマド・トップ(Noordin Mohammad Top)容疑者は、アジアで数々のテロ攻撃を首謀したとみられる大物テロ容疑者だ。

 インドネシアのテロ担当局関係者によると、今回のホテル爆破事件には、ヌルディン容疑者が率いるイスラム地下組織ジェマ・イスラミア(Jemaah IslamiyahJI)分派の犯行を示す特徴がみられるという。

 自爆攻撃に使われた手製爆弾には、中ジャワ(Central Java)州で数日前にイスラム教徒の寄宿学校から押収した物質が用いられていた。ヌルディン容疑者は、この学校に潜伏していたとみられる。

 マレーシア生まれのヌルディン容疑者は、今回も襲撃対象となったJWマリオット(JW Marriott)ホテルが2003年に爆破され12人が死亡した事件、2004年に10人が死亡したオーストラリア大使館自爆事件、2005年に20人が死亡したバリ島での爆破事件の首謀者とみられている。

 しかし、6年間におよぶ警察の追跡にもかかわらず、ヌルディン容疑者は何度も警察の手をくぐり抜け、逃亡を続けている。

 2003年10月、警察は西ジャワ(West Java)州バンドン(Bandung)にあるヌルディン容疑者とマレーシア人の爆弾製造専門家アザハリ・フシン(Azahari Husin)容疑者の隠れ家を急襲したが、同容疑者を取り逃した。さらに、2005年10月と11月にも中ジャワ州で同容疑者の逮捕を試みたが、失敗している。

 地元メディアによると、ヌルディン容疑者は前年にも、東ジャワ(East Java)州で肝疾患の治療を受けたあと、間一髪で警察の手から逃れている。

 こうした現実は、大方、成功を収めつつあるとされてきたインドネシアのテロ対策に影を投げかけている。

 JIは現在、欧米関連施設を対象とした攻撃からはほとんど手を引いているが、依然として多数の民間人犠牲もいとわない少数の強硬派もおり、ヌルディン容疑者はこうしたJI分派を指揮しているとみられる。

 このため、シンクタンク「国際危機グループ(International Crisis GroupICG)」のアナリスト、シドニー・ジョーンズ(Sidney Jones)氏は、JI分派への追跡を早急に強化する必要があると警告している。(c)AFP