【6月27日 AFP】第二次世界大戦(World War II)中、米国による原爆投下の約1年前に、英国が東京への化学兵器攻撃を検討していたことが、26日に公開された秘密文書で明らかになった。

 この文書は英国立公文書館(National Archives)に65年間保存されされていたが、このほど秘密指定が解除された。

 文書は、1944年に民間人が暮らす地域に化学兵器を使用することを明確に提案している。これによると、まず、燃えやすい日本家屋を爆撃で破壊した後、「より現代的な地域」を対象に毒ガスによる攻撃を行うとしている。

 計画が実行に移されることはなかったが、文書には最大限の被害を与えるための手法が克明に記されている。寒い冬の間はマスタードガスの効果が弱まる可能性があるため夏に攻撃することを推奨しているほか、強い雨は毒物を洗い流す可能性があるので、持続的な効果を得るには雨の合間をぬって攻撃すべきだと書かれている。

 また数多くの家屋が建ちならぶ道が狭い地域では、ガスの流れが悪くなるかもしれないと注意を促している。兵器としてはマスタードガス、ホスゲン、焼夷弾の使用が考えられるとしている。

 英国立公文書館の現代史専門家マーク・ダントン(Mark Dunton)氏は「米国より先に英国が日本の都市の大規模攻撃を考えていた可能性を示す点で興味深い文書だ。現在の感覚では民間人に対する化学兵器攻撃の効果がこれほど客観的に記述されていることはショッキングに思えるかもしれないが、戦争のプレッシャーがこのような恐ろしい論理を生みだした」と指摘した。(c)AFP