【5月27日 AFP】パキスタン軍は26日も、同国北西部スワト渓谷(Swat Valley)の中心都市ミンゴラ(Mingora)をめぐり、イスラム原理主義組織タリバン(Taliban)と激しい戦闘をくり広げている。一方、軍のタリバン掃討作戦によって同地に残された人びとについて、人道危機の懸念も高まっている。

 パキスタン軍によるタリバン掃討作戦は5週目に入っているが、軍当局はミンゴラの50%を掌握したとしている。

 パキスタン軍広報担当のAthar Abbas少将は記者会見で、「ミンゴラの半分以上は軍の統制下にある。武装勢力に逃げ道はない状態だ」と述べる一方で、「強硬派の残存勢力が抵抗している」とも語った。

 ミンゴラのほかにも、北西部ローアー・ディール(Lower Dir)では戦闘が続いているものの、ブネル(Buner)地区では、地区の90%が武装勢力から解放されたという。

 パキスタン軍は、タリバンなどの武装勢力が首都イスラマバード(Islamabad)の100キロ圏内に進出したことを受け、4月26日にローアー・ディール、同28日にブネル、今月8日にスワト渓谷とそれぞれ掃討作戦を開始していた。

 国連難民高等弁務官事務所(UN High Commissioner for RefugeesUNHCR)によると、今月2日以来、238万人が避難民として登録されたという。ロン・レドモンド(Ron Redmond)広報担当官は、ここ数年で「最も急速に避難民が増加した例」の1つだとしている。

 国際人権団体のヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights Watch)のブラッド・アダムス(Brad Adams)氏も、「戦闘の続くスワト渓谷に残された人びとは、パキスタン軍が外出禁止令を直ちに解除しない限り、人道危機に直面するだろう」と指摘する。

 パキスタン軍は、掃討作戦によって武装勢力の戦闘員約1190人と同軍兵士75人が死亡したと発表しているが、確認はできていない。(c)AFP/Lehaz Ali