【5月10日 AFP】アフガニスタン西部ファラー(Farah)州で今月の4日と5日に発生したイスラム原理主組織力タリバン(Taliban)との戦闘で、「相当数の民間人」が死亡したとする米軍とアフガン国家治安部隊(Afghan National Security ForceANSF)の共同調査結果を、米軍が9日発表した。

 共同調査チームは全ての死亡者は集団墓地などに埋葬されたため死亡者の正確な人数や、死亡者のうちタリバン戦闘員と民間人の内訳を出すことは不可能だと述べた。

 死者が空爆によるものか、バラブルク(Bala Buluk)地区の2つの村を中心にした地上戦によるものかは明確にされていない。米軍とANSFは一連の戦闘は複雑で、引き続き調査を続けるとしている。
 
 米軍は、バラブルク地区での戦闘は、アフガニスタン人以外の戦闘員を含む多数のタリバン戦闘員が引き起こしたとしている。タリバンは2つの村に集結し、村人に金を払うよう要求したという。

 またタリバンは警察の検問所も攻撃し、数人の負傷者が出た。州政府はANSFと外国部隊に支援を求めた。激しい戦闘が数時間続いたため、外国部隊が航空機による戦闘支援を要請したという。

 調査では、手榴弾やプロパンガスタンクの爆発によるとみられるフラッシュ火傷や小さな裂傷を負った人を少なくとも16人治療したというファラーの病院の医師の証言や、タリバンは住民に家から出ないよう命じ、屋根の上から攻撃していたという話を治療中に複数の患者から繰り返し聞かされたという医師らの証言を引用し、タリバンが民間人を「人間の盾」にしたと非難している。

 さらに調査では、タリバンが警察に待ち伏せ攻撃をしかけようと、警察をおびき寄せるために3人の住民を処刑したとしている。

■大きく異なる民間人の死者数

 非戦闘員の死者数は、ある報告では167人とされているが米国防総省は最大で50人とするなど、発表者によって大きく異なる数字が出されている。

 米軍は戦闘で25人のタリバン戦闘員が死亡したと発表したが、民間人の死者数は、アフガニスタン警察が発表した70人という数字も含めて、「非常に誇張されている」と発表した。

 ハミド・カルザイ(Hamid Karzai)大統領は訪米中の8日、米CNNテレビに女性と子どもを含む125人から130人が死亡したと語り、空爆は容認できないと述べた。

 しかしある匿名の国連(UN)関係者は、民間人の死傷者がタリバンが村人に投げた手榴弾によるものだとする米軍の主張を否定している。

この人物は「民間人の多数の死傷者は、タリバンの武装勢力によってではなく、空爆によることが明らかになってきている」と述べた。

 国連は死傷者数の統計を持っていないが、この国連関係者は「恐らく最大で167人というところだろう」とした上で、アフガニスタンと米国の共同調査はその独立性に「深刻な懸念」があると述べた。(c)AFP/Bronwen Roberts