【4月20日 AFP】米中央情報局(Central Intelligence AgencyCIA)が、9.11米同時多発テロ事件の主犯格の1人とされる国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)のハリド・シェイク・モハメド(Khalid Sheikh Mohammed)被告に対する尋問で、183回に及ぶ水責めを行っていたと、20日の米ニューヨーク・タイムズ(New York Times)紙が報じた。

 また、同じくアルカイダ幹部として拘束されたアブ・ズベイダ(Abu Zubaydah)容疑者には83回の水責めが行われたという。

 同紙は2005年の米司法省関連の覚書を引用し、この2人に行われたとされる水責めを使った尋問の回数が、これまでに報道されていたよりもずっと多かったことを示した。また、元CIA職員のジョン・キリアコウ(John Kiriakou)氏が2007年に、ズベイダ容疑者に行った水責めは、同容疑者に知っていることをすべてを自白することに同意させるために行った35秒間だけだったと、報道機関などに語っていた点も指摘した。

 モハメド被告は2003年3月に、ズベイダ容疑者は2002年に、パキスタンで拘束された。モハメド被告は08年、戦争犯罪と殺人の罪で、キューバにあるグアンタナモ(Guantanamo)米海軍基地に設置された特別軍事法廷に起訴され、死刑が求刑されている。

 水責めの回数が明らかにされたことで、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)前米政権下で行われた尋問手法の倫理性と有効性をめぐる議論に、さらに争点が加わりそうだとタイムズは予測している。

 一方、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領は前週、ブッシュ前大統領が承認した過酷な尋問手法の詳細を図解する覚書を公開したが、尋問を実行したCIA職員について、上官の命令に従って国家の防衛のために行ったものだとして訴追しない意向を示した。オバマ大統領は20日にCIA本部を訪問し、職員を前に演説する予定となっている。

 公開された覚書には、水責めや睡眠遮断、顔への殴打、昆虫を使った尋問などは「拷問には当たらない」とするブッシュ政権下の司法関係者の主張が記されていたが、オバマ大統領はこれらの尋問手法を批判している。(c)AFP