【3月6日 AFP】ソマリア沖のアデン湾(Gulf of Aden)で多発している海賊行為について、米政府高官は5日、2009年に入って海賊の攻撃成功率が急低下したことを明らかにするとともに、各国の警備強化の効果だと述べた。

 スティーブン・マル(Stephen Mull)米国務次官補代行(政治・軍事担当)は下院軍事委員会で、08年10月には64%に上った海賊行為の成功率が、今年に入って17%に激減したと発表。悪天候や、海賊に身代金が支払われたことのほか、各国の協調した外交・軍事努力も大きく貢献したとの見方を示した。

 ソマリアの海賊は前年12月までの半年間に、アデン湾を通過する船舶を標的とした攻撃を頻繁に行い、身代金数百万ドルを荒稼ぎしている。マル氏によると現在、各国の軍艦23隻が海域をパトロールしており、海運会社も乗っ取り対策を強化しているという。

 一方、長期的な展望について、バーレーン(Bahrain)に駐留する米第5艦隊のウィリアム・ゴートニー(William Gortney)司令官は、海賊行為そのものが減っているわけではないと指摘。「いつまで(各国が)軍艦を派遣できるかによる」として、見通しは不透明だと述べた。

 海賊行為の撲滅にはソマリアの政情不安の改善が必要だと米高官らは認めているが、ソマリア本土への軍事行動は今のところ考えていないとしている。(c)AFP/Jim Mannion