【1月8日 AFP】イスラエル軍は8日未明、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)への攻撃を再開し、南部の武器輸送用とみられるトンネルを空爆した。また、南部最大の都市ハンユニス(Khan Yunis)付近やガザ地区北部でも、空爆が報告されている。南部にイスラエル軍の戦車部隊が進攻しているとの目撃証言もある。

 パレスチナ民間防衛担官によると、7-8日の夜間だけでガザ地区内で40か所が空爆され、多くが南部ラファ(Rafah)近郊に集中しているという。停戦を目指す外交交渉が続けられている中、パレスチナ医療関係筋による死者数はこれまでのところ死者は702人、負傷者は3100人となった。

■一時停戦、物資求め通りに人あふれる

 イスラエル軍は7日、人道支援を目的にガザ市(Gaza City)周辺への砲撃と空爆を3時間停止。イスラム原理主義組織ハマス(Hamas)もロケット弾攻撃を停止した。

 攻撃が停止されると、食料や燃料を求める人々や車が市内の通りにあふれた。パン店の前には長い行列ができ、パンはすぐに売り切れた。援助団体はトラック数十台に食料や燃料を積載してガザ地区内に搬入した。しかし、戦闘はすぐに再開された。

■外交交渉は難航

 こうした中、イスラエル治安閣議は同日、エフド・バラク(Ehud Barak)国防相に対し、ガザ攻撃の強化を承認した。一方でイスラエルは、エジプトが提案している停戦案をめぐって8日にカイロ(Cairo)で開かれる会合に、バラク国防相の側近を特使として送ることも決めた。

 米ニューヨーク(New York)の国連安全保障理事会(UN Security Council)では、停戦案をめぐる議論が紛糾。リビアが提出しアラブ諸国が支持する「イスラエル側の即時停戦」を求める停戦決議案採択と、フランスが提出し英仏が支持する「即時に永続性のある停戦」を求める議長声明案とをめぐって意見が対立し、8日も協議を継続することとなった。

■高まる人道危機

 戦闘が長期化する中、世界銀行(World Bank)は7日、電気と燃料の不足からガザ地区北部にある下水ポンプが稼働しておらず、またイスラエル軍の空爆で汚水槽の壁に負担がかかっていることから、数万人が汚水に漬かる危険性があることを明らかにした。

 また、バチカン(Vatican)のローマ法王庁・正義と平和評議会委員長のレナート・マルティーノ(Renato Martino)枢機卿はガザ地区の状況を「巨大な強制収容所にますます似てきた」と評した。これについてイスラエルは7日、「ハマスのプロパガンダに基づいた発言だ」と批判している。(c)AFP