【11月27日 AFP】インドの金融中心地ムンバイ(Mumbai)で26日に武装グループに襲撃され、27日未明に上部階が炎に包まれたタージマハル(Taj Mahal)ホテルは、105年の歴史を持ち、インド人にとっては国家の威信のシンボルの1つだ。

 赤いドームを頂いた荘厳なホテルは、アラビア海(Arabian Sea)に面したインド門(Gateway of India)の向かい側にそびえ、1947年のインド独立時にはアラビア湾から帰国する旧宗主国の英国軍部隊を見送った。

 ホテル創設の歴史もまた、インドの民族自決の闘いに彩られている。というのもこのホテルは、パーシ人の実業家ジャムセトジー・タタ(Jamsetji Nusserwanji Tata)氏が、ヨーロッパ人専用のホテル「アポロ・ホテル(Apollo Hotel)」で宿泊を断られたことがきっかけで、建設を思い立ったと言われているのだ。

 1903年の完成当初から現在まで、「ムンバイ一のホテル」との評判は変わっていない。ムンバイの住民にとっては、コスモポリタンの品格を象徴した心のよりどころとなっている。

 旧館には一流ブランドのショップが並ぶほか、1970年代に増築されたタワーウィングの屋上では、ムンバイ市内を眺めながら紅茶や食事を楽しむことができる。
 
 過去の宿泊客には、英エリザベス女王(Queen Elizabeth II)、エジプトのナセル(Gamal Abdul Nasser)元大統領、ビートルズ(Beatles)のジョン・レノン(John Lennon)など、世界の著名人が名を連ねる。

 客室数は、スイート46室を含む全565室で、ムーア風、オリエンタル風、フィレンツェ風の装飾が施されている。ダブルルームの宿泊料金は、1泊365-425ドル(約3万5000-4万円)という。(c)AFP