【11月19日 AFP】アフリカ東部沖では、海賊による被害が頻発している。17日には、ソマリアに向かっていたサウジアラビアの大型タンカー「シリウス・スター(Sirius Star)」(31万8000トン)がソマリアの海賊に乗っ取られている。これはこれまで海賊の被害を受けた船舶の中で最大のものとなった。

 以下は、2008年に発生した主な海賊被害。解決した事例もあるが、交渉にはたいてい数週間を要する。

―4月4日、仏豪華帆船「ポナン(Ponant)」号。身代金200万ドルが支払われ、乗員は解放される。仏軍部隊が容疑者6人を拘束し、身代金の一部を奪還。

―4月20日、スペインのマグロ漁船「プラヤデバキオ(Playa de Bakio)」号。乗員20人は乗っ取りから6日後に解放。スペイン政府は、政府による身代金の支払いを否定するも、船会社による支払いを示唆。

―4月21日、日本郵船(NYK Line)の大型タンカー「高山(Takayama)」(15万トン)。中東イエメン沖で小型の不審船1隻から発砲を受け被弾。負傷者なし。

―9月2日、仏ヨット「Carre d'as」。アデン湾(Gulf of Aden)で乗っ取られるも、仏軍特殊部隊が急襲し、人質2人を解放。海賊側は6人が拘束され、作戦中に1人が死亡。

―9月25日、ウクライナの貨物船「MV Faina」号。ウクライナ人17人とロシア人3人の乗員が人質となるとともに、積載されていた戦車33台と武器類が奪われる。

―11月11日、デンマークの「Powerful」号。武装した海賊と英国およびロシアの海軍艦艇が交戦し、乗っ取りは未遂。海賊側は2人が死亡。

―11月15-16日、「シリウス・スター」号。1億ドル(約96億円)相当の原油を輸送中に乗っ取られる。さまざまな国籍の乗員25人が人質に。

 国際海事局(International Maritime BureauIMB)によると、ソマリアの海賊は今年に入って90隻の船舶を攻撃しており、これは前年に比べ2倍以上に上るという。海賊は現在も、16隻の船を乗っ取り続け、250人以上の乗員を人質にとっている。(c)AFP