【11月16日 AFP】9月にソマリアの海賊団に乗っ取られた日本の海運会社所有の貨物タンカーが解放されたが、15日に新たにアデン湾(Gulf of Aden)で別の日本船が乗っ取られた。16日、船員援助計画(Seafarers Assistance Programme)が明らかにした。

 船員援助計画のケニア支部長によると、解放されたのは日本の海運会社セントラルマリン(Central Marine)が所有するパナマ船籍の「Stolt Valor」号で、9月15日に乗っ取られ、インド人18人、フィリピン人2人、ロシア人とバングラデシュ人各1人の乗組員22人も拘束されていた。

 一方、Mwangura支部長は、15日にアデン湾東方約150キロ付近で、新たに日本の船舶会社が所有する2万トン級の貨物船「ケムスター・ビーナス(Chemstar Venus)」号が、ソマリアの海賊団にだ捕されたことを明らかにした。同船にはフィリピン人18人、韓国人5人が乗り込んでいるという。

 解放された「Stolt Valor」号については乗組員らは健康で、船はムンバイ(Mumbai)へ向かったことをインドの海事当局が確認した。また、インド船員組合(National Union of Indian Seafarers)は身代金が支払われたことを認めたが、海賊側が要求していた250万ドル(約2億4300万円)の全額が支払われたかどうかは分からないという。

 国際海事局(International Maritime BureauIMB)によると今年1月以降、ソマリア沖では少なくとも83隻が襲撃され、うち33隻が乗っ取られた。さらにそのうちの12隻、計200人を超える乗組員は現在も海賊に拘束されている。

 ソマリア沖ではアジア各国の船舶や漁船に対する海賊による乗っ取りが相次ぎ、身代金が支払われない限り解放されないことから、韓国やインドなど数か国は艦船を派遣しての警備を検討している。

 欧州連合(EU)は前週、増加する海賊行為を取り締まり、援助物資を運ぶ船舶を保護するため、EUの海上行動として初めてソマリア沖の治安作戦に着手した。ブリュッセル(Brussels)のEU本部で開かれた国防相会議で承認された作戦は「アトランタ作戦(Operation Atlanta)」と命名され、英ロンドン(London)近郊のノースウッド(Northwood)に本部を置き、英国が主導する。(c)AFP/Bogonko Bosire