【10月14日 AFP】カンボジアの遺跡として7月に世界遺産に登録されたプレアビヒア寺院(Preah Vihear Temple)付近のカンボジア・タイ国境地帯に関する領有権をめぐり、両国の長年の対立が再度緊張を増しているが、周辺に展開している両軍の撤退について14日、政府間の応酬が続いた。

 カンボジア側は、両軍司令官が協議した後の14日朝、タイ軍が同地帯から撤退を開始したと発表した。しかし、タイのソムポン・アモンウィワット(Sompong Amornviwat)外相は直後に記者団に対し「その予定もない」と述べ、「紛争地域には20-30年駐留している。80人の兵士らは地雷撤去作業部隊。越境はしていない」と自国軍の撤退を否定した。

 カンボジアのフン・セン(Hun Sen)首相は13日、タイ軍が正午(日本時間同午後2時)までに撤退しなければ、紛争地域で拘束する可能性もあると警告した。これに対しタイの外務省は、カンボジアが武力を行使した場合、「タイは自衛権を行使しなければならないだろう」と強く反発、緊張は一気に強まった。タイ軍側は14日、国境紛争が激化すればカンボジア軍と交戦する準備はできていると、さらに油を注いだ。

 8月に両軍は駐留軍規模削減で合意したにもかかわらず、同国境地帯をめぐる両国の緊張はここへ来て、最大1000人の兵士が6週間にらみ合う状態まで発展している。(c)AFP/Suy Se