【9月1日 AFP】イラクで最も治安の悪かった中西部アンバル(Anbar)州の治安維持権限が1日、駐留米軍からイラク軍へ移譲された。

 治安権限の移譲式典は1日、州都ラマディ(Ramadi)の州政府庁舎で行われた。権限移譲は全18州のうち11番目だが、イスラム教スンニ派が多数を占める州では初めてで、シーア派による政府が率いる同国の治安回復を象徴する転換点となった。同州の住民は約200万人。 

 警察によると、式典前後にはイラク軍および米軍部隊数万人が同州全体に動員され、警戒にあたった。米軍は権限移譲について「重要な節目だが、必ずしも治安情勢の安定や改善を意味するわけではない。イラク政府および州当局が治安に責任を持つ準備が整ったということだ」と述べた。

 権限移譲後は、駐留米軍は州知事から要請があった場合のみ軍事行動に参加する。

 米軍発表によると、アンバル州には今年2月には3万7000人の米軍兵士が駐留していたが、現在は2万8000人まで削減されている。一方でイラク軍兵士およびイラク警察の配備規模は3年前の5000人から3万7000人に増えた。

 襲撃事件などが増加しているアフガニスタンへの米軍増派を求める圧力が高まる中、アンバル州の権限移譲により、イラク駐留米軍の削減は大幅に進むとみられる。イラク全体に駐留する米軍は約14万4000人だが、今後数か月間に削減が見込まれる。(c)AFP/Karim Talbi