【8月26日 AFP】アフガニスタン東部で26日、日本の非政府組織(NGO)「ペシャワール会」の農業専門家、伊藤和也(Kazuya Ito)さん(31)が誘拐された事件で、アフガニスタン内務省は一時伊藤さんが解放されたと発表したが、同日夜、誤報だったとしてこの発表を撤回した。

 ペシャワール会のジャララバード(Jalalabad)事務所によると、伊藤さんは26日午前6時30分(日本時間同日午前11時)ごろ、アフガニスタン東部のナンガハル(Nangarhar)州で灌漑(かんがい)施設の点検に向かった際に誘拐された。

 アフガニスタン内務省は、伊藤さんは事件発生から約10時間後に、ナンガハル州での大規模な救出作戦によって無事解放されたと発表していた。しかし、山本一太(Ichita Yamamoto)外務副大臣は都内で会見し、アフガニスタン側から誤報の知らせが届き、捜索が続行しているとの連絡を受けたと述べた。

 これに先立ち、ペシャワル会のジャララバード事務所の副責任者は、伊藤さん解放の情報はなく、外見が日本人に似た人物1人が拘束されているため情報が混乱していると話していた。またナンガハル州政府も伊藤さんが解放されたとの情報は得ていないとしていた。

 現地警察は、イスラム原理主義組織タリバン(Taliban)との戦闘後、伊藤さんと一緒に拉致された運転手を解放したとしている。タリバン側も伊藤さんらを拉致し、警察と衝突したことを確認した。

 アフガニスタンでは2001年のタリバン政権の崩壊以来、これまでに25人の援助要員が襲撃を受けて命を落としている。治安悪化にともなって誘拐が発生しており、最近では7月中旬に首都カブール(Kabul)の近くでアフガニスタンの上院議員がタリバンを名乗る男たちに誘拐されたほか、約1週間前にはアフガニスタン東部での地雷除去作業員6人が誘拐されている。(c)AFP