【8月13日 AFP】スーダン・ダルフール(Darfur)やミャンマーにおける民族紛争では、戦争の道具としてレイプがますます横行しており、家族や地域社会を破壊している。2人のノーベル平和賞受賞者が12日、警告を発した。

 対人地雷禁止キャンペーンの先頭に立つ米国のジョディ・ウィリアムズ(Jody Williams)さんと、アフリカの民主主義拡大を声高に推進するケニアのワンガリ・マータイ(Wangari Maathai)さんは、「女性たちは紛争の暴力において『最も高い犠牲』を払わされている」と口を揃えた。

 2人は、ハリウッド女優でユニセフ(UNICEF)親善大使のミア・ ファロー(Mia Farrow)さんや人権団体活動家らとともに、ダルフールとミャンマーの現地クリニックや難民キャンプを訪問し、被害に遭った女性たちから直接話を聞き取った。

 ウィリアムズさんによると、ミャンマーの軍事政権は、東部で遂行している民族浄化でレイプを戦争の道具としている。ダルフールでも同様だという。ウィリアムズさんは、こうしたレイプの目的は「地域社会を根幹から破壊すること」だとみる。「レイプされた女性は、辱めを受けた女性のレッテルを貼られる。しばしば夫から離婚を言い渡され、女性は1人取り残されることになる」

 マータイさんは、紛争で真っ先に犠牲になるのは女性だと語った。「最初は兵士たちに苦しめられ、次は愛する男たちに苦しめられるのです」

 ウィリアムズさんは、ダルフールからチャドに逃れた難民たちが暮らすキャンプで、30~40人の女性たちと会った。「彼女たちと会ったのはわずかな時間だったのに、7人の女性から集団レイプされたという話を聞いた」。ある35歳の女性は、民兵組織ジャンジャウィード(Janjaweed)の複数の兵士にレイプされ、帰宅すると夫はすでにそのことを知っており、その場で離婚された。彼女は8歳の子どもと2人きりで取り残されたという。

「レイプは、家族やコミュニティーばかりか、民族をも分断する。ダルフールとミャンマー東部で、そうしたことが行われているのだ」とウィリアムズ氏は強調した。(c)AFP