【8月11日 AFP】(一部更新)米国は10日、グルジア・南オセチア(South Ossetia)自治州情勢に介入したロシアが、グルジアのミハイル・サーカシビリ(Mikheil Saakashvili)大統領の退陣を要求しているとして非難した。

 国連安全保障理事会(UN Security Council)の4回目の会合で、ザルメイ・ハリルザド(Zalmay Khalilzad)米国連大使とロシアのビタリー・チュルキン(Vitaly Churkin)国連大使が、冷戦時代を思わせる激しい応酬を展開。この中でハリルザド大使は、ロシアがグルジアに対し「政権交代」を狙った「恐怖作戦」を展開していると批判した。

 ハリルザド大使は、セルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)ロシア外相がコンドリーザ・ライス(Condoleezza Rice)米国務長官との電話会談で、サーカシビリ大統領は「退陣しなければならない」と述べたとのチュルキン大使のコメントについて、「完全に容認できず、一線を越えている」と指摘。民主的に選ばれたグルジアの政権と領土の主権を「ロシアは尊重しなければならない」と述べた。

 これに対し、ラブロフ外相はAFPのモスクワ(Moscow)特派員を通じて、サーカシビリ政権を転覆させる意図を否定。ライス長官との電話会談の内容が、「正しく理解されていない」と反論した。

 一方、北京に滞在中のジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領は11日、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)ロシア首相に対し、グルジアでの戦闘の激化は「受け入れられない」と伝えた。

 また、ディック・チェイニー(Dick Cheney)米副大統領は10日、ミハイル・サーカシビリ(Mikheil Saakashvili)大統領と電話で会談。ホワイトハウスによると、チェイニー副大統領は「ロシアの侵攻を見過ごすわけにはいかない。このまま続けるようなら、米国や国際社会との関係に深刻な結果をもたらすだろう」と述べた。

 米国は安保理で、即時停戦と全戦力の撤退を求める国連決議の採択を目指しているが、外交筋によると採択は早くても次週以降となる見込み。(c)AFP