【5月15日 AFP】(写真追加)レバノン政府は14日、イスラム教シーア(Shiite)派原理主義組織ヒズボラ(Hezbollah)ら野党勢力の主要な要求を受け入れると発表した。軍の決定を追認する形で、「アラブ連盟(Arab League)の交渉を円滑にし、国家の結束と市民の安全を守るため」と説明している。

 同国では前週から、与野党の支持勢力の武力衝突が続き、少なくとも65人が死亡。新たな内戦のぼっ発が懸念される中、アラブ連盟加盟国の外相らが両勢力間を行き来して事態の打開を図っていた。

 ベイルート(Beirut)南部郊外のシーア派地域では、人びとが上空にむけて銃を放つなどして政府の決定を祝福した。ただ、これでベイルート国際空港(Beirut International Airport)を封鎖するなどの野党側の反政府活動が沈静化するかどうかは今のところ不透明だ。

 与野党支持勢力間の衝突は、レバノン政府が前週、ヒズボラが設置した通信網に対して捜査を行うと発表したことに加え、ベイルート空港の保安責任者を、ヒズボラと関係が深いという疑いから転任させたことが発端。ヒズボラのハッサン・ナスララ(Hassan Nasrallah)党首は、政府の対応を「宣戦布告」も同然と激しく非難していた。

 野党側のある高官は政府の決定を受けて、15日朝にも空港に続く道の封鎖が解かれるとの見方を示している。(c)AFP/Jocelyne Zablit