【5月9日 AFP】レバノンの首都ベイルート(Beirut)で9日、親シリア派野党のイスラム教シーア派原理主義政党「ヒズボラ(Hezbollah)」と反シリア・親欧米派の与党支持勢力の武力衝突が3日目に突入し、ヒズボラが市内の与党勢力拠点を制圧した。

 武力衝突は銃撃戦に加えロケット弾攻撃なども加えられるなど激しさを増し、レバノン全土が再び内戦に陥りかねない状況だ。

 ヒズボラの党首、ハッサン・ナスララ(Hassan Nasrallah)師が8日、政府によるヒズボラの軍事通信網取り締まりを「宣戦布告も同然」と激しく非難したことを機に激化した銃撃戦で、国際赤十字(Red Cross)によると同日だけで少なくとも11人が死亡したという。

 仏紙「L'Orient-Le Jour」も「西ベイルートは市街戦に陥った」と報じている。

 合法政党ながらレバノン随一の軍事組織を有する「ヒズボラ」は、反シリア派の有力議員、サード・ハリリ(Saad Hariri)氏の自宅にロケット弾を撃ちこむなどして、同氏の一族が経営するメディアの閉鎖を要求。これに対しハリリ氏は、テレビに出演しヒズボラに事態の収拾を呼びかけたが、ヒズボラ側はこれを拒否している。

 ハリリ氏は、2005年に暗殺されたラフィク・ハリリ(Rafiq Hariri)元首相の息子。(c)AFP/Jocelyne Zablit