【3月16日 AFP】同国北部のクルド人自治区のハラブジャ(Halabja)は16日、サダム・フセイン(Saddam Hussein)政権時代の1988年にイラク軍による毒ガス攻撃を受けてから20年目を迎えた。

 イラン・イラク戦争(1980-1988)中、イラク軍が使用したと見られる化学兵器によって、今までにハラブジャの住民約5000人が死亡している。また、多くの村民が今でも後遺症に苦しめられており、毒ガスが原因で死亡する人も後を絶えない。

 ちょうどこの日、14日に亡くなった Ismail Abdallah Rashid さんの埋葬が行われていた。「Halabja Victims' Society(ハラブジャ被害者の会)」設立者の1人Luqman Mohammed氏は「Rashid はあの攻撃で死んだ人たちを埋葬しているときに毒ガスにやられたんだ」と話す。それ以来、Rashid さんは喘息に苦しんでいたという。

 Luqman Mohammed氏は、「今もなお後遺症に苦しむ犠牲者のために、もっと多くの民間病院が必要」と訴える。同会は、毒ガス攻撃の加害者らの死刑を求めている。

 故フセイン元大統領の側近で、クルド人虐殺に毒ガスの使用を命じた「ケミカル・アリ(Chemical Ali)」こと、アリ・ハッサン・アルマジド(Ali Hassan al-Majid)元国防相は、1988年のクルド人虐殺事件(アンファル作戦)を指揮し18万人のクルド人を殺害したとして、「ジェノサイド」の罪で死刑判決が下されている。イラク政府は2月末、アルマジド元国防相の死刑執行を認可したが、執行の時期は決まっていない。旧フセイン政権は、イラン・イラク戦争時の暴動鎮圧のためにアンファル作戦は必要だったと述べていた。

「ハラブジャは今でも苦しんでいる。イラク政府はハラブジャに関心がない。ハラブジャは、国民の悲劇を象徴している。再建のために多額の費用を投じてほしい」とNemat Marofさん(36)は訴えた。(c)AFP/Shwan Mohammed