【2月5日 AFP】国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)に対する米国の戦略には、孫子(Sun Tzu)の「兵法(The art of war)」にある「敵を知る」という営みが欠けている。専門家はそう指摘する。

 専門家は、敵の本質、目的、強みと弱点などを無視することが、米国を敗北に導きかねないと危惧している。

 米ジョージタウン大学(Georgetown University)のブルース・ホフマン(Bruce Hoffman)教授は「米軍当局や情報機関の関心はもっぱら敵の指揮官の追捕や米軍部隊の防御に集まっており、目の前の敵を知ろうとしていない」と指摘する。

 ホフマン教授は同時に、「アルカイダなどのテロリストや反政府武装勢力は要員を大量動員できるだけでなく、新規要員や必要物資の大量補充能力もあわせもっている。指揮官を狙う現在の手法は通用しない」と語る。

「敵を知らずして、テロを未然に防止するための効果的な戦略を作り上げることはできない」

■指揮官殺害重視の戦略続く

 パキスタン当局は今月1日、アフガニスタンのアルカイダ幹部、Abu Laith al-Libi容疑者が同国内の潜伏先で米軍の無人飛行機による爆撃で死亡したとみられることを公表。米軍当局もこれを歓迎するコメントを発表していた。

 同容疑者は、AFPが確認している米中央情報局(Central Intelligence AgencyCIA)の指名手配リストの上から5番目に掲載されており、500万ドル(約5億3400万円)の懸賞金がかけられていた。(c)AFP/Michel Moutot