【1月10日 AFP】ペルシャ湾(Persian Gulf)のホルムズ海峡(Strait of Hormuz)でイラン革命防衛隊(Revolutionary Guards)の高速艇が米海軍艦艇を威嚇したとされる問題で、米国防総省のビデオ発表に対抗し、イラン側は10日、独自のビデオを公開した。「イラン側から爆破するとの警告を受けた」という米側の非難に反撃する構えだ。
 
 イラン側が発表した4分間のビデオ映像は、イラン国営の英語放送局「Press-TV」で放映された。ビデオの中では、イラン側の高速艇上でイラン人指揮官1人が米側の水兵に無線通信で、米艦艇の所属確認と航行目的を申告するよう求める様子が移っている。「Press-TV」によるとビデオは革命防衛隊が公表した。

 イラン側指揮官は「連合軍艦艇73、こちらはイラン巡視艇」と英語で呼びかけ、米艦艇に番号の確認を求めると、米側が「こちらは連合軍艦艇73、現在公海を航行中」と返答している。

 ビデオの中では、米海軍巡洋艦ポート・ロイヤル(USS Port Royal)を意味する「識別番号73」を表示した艦艇が近づき、事件に遭遇した他の2隻の米艦艇、駆逐艦ホッパー(USS Hopper)とフリゲート艦イングラム(USS Ingraham)も映っている。また米艦艇の上空に空中停止するヘリコプターも映っている。

 イラン側の指揮官はさらに「現在のコースと速度を申告せよ」と続けている。この指揮官はイラン革命防衛隊がよく身に着けるアラブ人男性用のスカーフ、カフィーヤをかぶり、黄色の救命具を着用している。

 交信の内容は繰り返しが多く技術的な部分もあり、双方合意の上で途中から無線チャンネルを16から11に切り換えている。

 イラン側は映像公表によって、「事件は単に通常の警備の一環で行った識別行動で、いかなる混乱もなく終わった」という自国側の主張を裏付けると考えているとみられる。(c)AFP