写真は20日、南部アマラ(Amara)の破壊された警察署の前を歩くイラク警察の特殊部隊隊員。目撃者と医療関係者らによるとによると、18日の夜からマフディ軍の武装兵数百人がイラク警察と激しい戦闘を繰り広げた。武装兵は警察署を攻撃し、警官と衝突。署は破壊され、18人が死亡、100人近くが負傷した。(c)AFP/ESSAM AL-SUDANI
【メッカ/サウジアラビア 21日 AFP】イラクのシーア(Shiite)派とスンニ(Sunni)派の聖職者が出席しメッカ(Mecca)で進められていた協議で、両派代表は20日、戦争で荒廃したイラクでの宗派間の流血を停止する合意文書に署名した。
■コーランと預言者ムハンマドの言葉から
57か国が加盟するイスラム諸国会議機構(Organization of the Islamic Conference、OIC)の主導で開催されたこの協議には、イラクの両派を代表するイスラム教聖職者29人が出席し、「イスラム教徒の血を流すことを禁じる」と明記された協定を交わした。サウジアラビア政府の手配した特別機でメッカに入った聖職者たちは、大モスク近くの王宮で協議を重ねていた。
AFPが入手した合意文書の草案は、OICの後援を受けたシーア派とスンニ派の聖職者4人によってまとめられたもので、コーラン(Koran)の文言と預言者ムハンマド(Prophet Mohammed)の言葉が引用されている。合意文書は、イラクの独立と領土の護持のため「スンニ派とシーア派双方による社会参加の必要性」を重要視し、「イスラム教徒の財産、生命、および名誉」の保護を呼びかけている。同文書はまた、「拘束されている無実の人たちすべて」の解放と、犯罪容疑者の「公平な」裁判を求めている。
この文書はアラビア語のほか英語でも印刷され、イラク国内で配布されることになっている。
■「合意文書の効力」は両派の指導者次第か
「スンニ派聖職者は、イラク内のシーア派権威者の支持を得た内容の宣言を発表しており、合意文書の条項は履行されるだろう」とOICのエクメレディン・イフサンオウル(Ekmeleddin Ihsanoglu)事務局長は期待を込めて述べている。しかし、協定が交わされた後、イフサンオウル事務局長は、「道徳上の義務の問題だ。OICもほかの誰も、他の人の良心を支配する力は持ち合わせない」とも述べ、OICが条項の履行を確実にする「魔法のつえ」を持たないことを認めている。
OICは先に、このOICの主導の成功は両派の精神的指導者の参加の状況にかかっていると述べている。シーア派最高指導者のシスタニ(Grand Ayatollah Ali al-Sistani)師は、会合への出席は見合わせたものの、合意文書の内容を支持する親書を送り、協議で読み上げられた。親書には「イラクのシーア派とスンニ派間に教義をめぐる争いはない。あるのは政治的危機だ」と述べられていた。
一方、シーア派教徒による殺害の多くに関与しているとして米国が非難している民兵組織「マフディ軍(Mahdi Army)」を従える同派反米指導者ムクタダ・サドル(Moqtada Sadr)師は、条件付きではあるが支持を表明していた。しかし、協議に代表を送らなかった。同師は「イラクの利益に沿う協議はすべて支持をする。ただ、協議がイラク国内で行われることを期待していた。」と述べている。
イフサンオウル事務局長は、今回のOICの主導的役割がヌーリ・マリキ(Nuri al-Maliki)首相と閣僚の支持を得ていたことを強調する。6月に「国民和解計画」を発表した後の住民の流血と犠牲者数増加に頭を悩ませるマリキ首相は、「メッカでの協議は、シーア派とスンニ派の両派が出席することによって、イラク国内での対話への接点を模索する取り組みへの支持と見て取れる」と述べ、この合意が窮地に陥っている政府の治安回復への取り組みを、後押しすることを望んでいる。
写真は20日、南部アマラ(Amara)の破壊された警察署の前を歩くイラク警察の特殊部隊隊員。目撃者と医療関係者らによるとによると、18日の夜からマフディ軍の武装兵数百人がイラク警察と激しい戦闘を繰り広げた。武装兵は警察署を攻撃し、警官と衝突。署は破壊され、18人が死亡、100人近くが負傷した。(c)AFP/ESSAM AL-SUDANI