写真は、世界貿易センタービル跡地で翻るツインタワーのシンボルの旗と米国旗。(2002年2月8日撮影)(c)AFP/Stan HONDA
【ニューヨーク/米国 3日 AFP】5年間にわたる見直しや遅れ、論争の末、数知れぬ有名建築家らを巻き込んで、世界貿易センタービル跡地(グラウンド・ゼロ、Ground Zero)の再開発計画が紆余曲折を経てようやく実現に向け動き出した。
再開発を望む声は、2001年9月11日の同時多発テロで世界貿易センタービル(World Trade Center)が瓦礫と化した直後から存在していた。しかし、当初の大胆なほどの楽天的な構想は、すぐに落胆と苛立ちに変わり、暗礁に乗り上げてしまった。
再開発事業には商業的、芸術的、政治的な思惑が絡み、発足するが早いか、土地開発業者や建築家、政治家らが実権をめぐって三つどもえの争いを繰り広げ始めた。
基本設計を行った建築家のダニエル・リベスキンド(Daniel Libeskind)氏は、「プロジェクトの中で問題にならなかった個所は1つとしてありませんでした」と語る。
「さまざまな人の思いや複雑な事情を伴っていました」。
世間の注目は、再開発プロジェクトの中心となる高さ540メートルのフリーダムタワー(Freedom Tower)に集まった。ニューヨークの高層ビル街にできた穴を埋める、力強い復興の象徴と期待されている。
2003年に世界中の建築家を集めて行われたコンペで、リベスキン氏が選ばれて以来、彼の計画案は2度の抜本的な見直しがされており、起工式も2004年の7月4日に行われたものの、建設工事が本格的にスタートするまでにはさらに2年近くがかかった。
同時多発テロから5周年を目前に、ようやくで事態が進展し始めたとの感覚が関係者にはある。リベスキンド氏は4月、中心となるタワーの土台部分の地ならしが済んだのを確認し、「少なくとも、正しい方向に進んでいますよ」と語った。
グラウンド・ゼロの地権者で土地開発業者のラリー・シルバースタイン(Larry Silverstein)氏によって、同時多発テロで大きく損傷し、一から再建された52階建ての世界貿易センター第7ビル(7 World Trade Center)が5月にオープンされた。
「期日も予算も予定どおりに完成させることができました。政府が関与しなければ、民間事業でもちゃんとしたものができるという例ですよ」とシルバースタイン氏は言う。
これまでさまざまな問題を抱えてきた再開発事業だが、建築家グループによるデザインの質に対する批判は出ていない。リチャード・ロジャース(Richard Rogers)氏とノーマン・フォスター(Norman Foster)氏がオフィスビルを設計し、フランク・ゲーリー(Frank Gehry)氏が劇場を、サンティアゴ・カラトラバ(Santiago Calatrava)氏が駅などの交通網を担当する、言わばドリームチームだ。
8月初めには、数年にわたりデザインや外観に関する論議がされてきたテロ犠牲者の追悼記念施設も着工した。
一方、再開発計画そのものに対する批判も存在する。
ペース大学(Pace University)が7月に行った世論調査では、再開発計画が間違った方向に進んでいると感じているマンハッタン南端部(lower Manhattan)の住民は48%にのぼり、3年前の25%から大幅に増えた。また、38%がフリーダムタワーは公的資金の無駄遣いだと答えたほか、48%が安全だと保証されても再建されたビルで働くことに恐怖を感じると答えている。
写真は、世界貿易センタービル跡地で翻るツインタワーのシンボルの旗と米国旗。(2002年2月8日撮影)(c)AFP/Stan HONDA