
【ディアボーン/米国 9月3日 AFP】いわれのない疑いの目、中傷、暴力、空港での過剰な荷物と身体検査、証拠のない逮捕。2001年9月11日の同時多発テロ発生以来、アメリカに住むイスラム教徒たちは、当局による差別や嫌がらせに苦しめられてきた。
事態は改善されるどころか悪化の一途を辿っているようだ。
最近のギャラップ社(Gallup)の世論調査によると、米国人の39%がイスラム教徒に偏見を持っていると認めたほか、イスラム教徒には、近隣に住んでほしくないと考えた人が25%近くに上った。
イスラム教の市民団体「米イスラム関係評議会(Council on American Islamic Relations、CAIR)」のDawud Walidミシガン支部長は、「米国人の多くは、大都市圏で働いてない限り、イスラム教徒に接しません。彼らの知識はすべて、マスコミで報道されたもの通じて得たものだけです」と語る。
国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)に所属するイスラム教徒19人が民間旅客機をハイジャックし、世界貿易センタービル(World Trade Center)と米国防総省に攻撃を仕掛けた同時多発テロ後、ジョージ・W ・ブッシュ(George W. Bush)米大統領も、多少なりともしばらくは言動を慎んでいた。しかし、最近になって「イスラム教のファシスト(Islamofacists)」などと挑発的な言葉を口にするようになったと、Walid支部長は非難する。
「宗教や、政治指導者が偏見をあらわにした言葉を用いれば、悪い結果を招きます。キリスト教徒連合(Christian Coalition)のパット・ロバートソン(Pat Robertson)牧師しかり、ブッシュ大統領しかり」
CAIRによると、嫌がらせや暴力、差別待遇などに関する苦情件数は、過去5年で確実に増加しているという。2004年には49%増の1522件を数え、うち141件は暴力的な憎悪犯罪の実例か、未遂に終わっている。Walid氏によると、数字は2005年、2006年と増加し続けているという。
Osama Abulhassanさん(20)も苦情を声にした一人である。テロ容疑で8月の1週間を拘置所で過ごしている。オハイオ(Ohio)州の小さな町で、友人のAli Houssaikyさんと一緒にプリペイド式携帯電話を購入したことが逮捕理由だった。2人とも両親はレバノン移民で、米国で生まれている。
「ぼくがテロ容疑をかけられるなんて、信じられなかった」と、ハラールチキンのサンドイッチを食べながらAbuhassanさんは語る。
「1週間ずっと、自分たちがどうしてあんなところに入っていたか、自問し続けたよ。誰にでも起こり得ることなんだと理解したんだ」。
ナイキのエアジョーダン(Air Jordan)のTシャツとプーマ(Puma)の野球帽をかぶった彼は、どこにでもいる普通の学生にしか見えない。だが、バスケットボールの試合で彼の名前が呼ばれると周囲はハッと息をのむ。道を歩いていても、疑いの目を向けられることが多くなり、慣れっこになってしまったという。
米イスラミックセンターでは、イマームのSayed Hassan Al-Qazwini師は、自分あてに送られてきた嫌がらせの手紙を分類している。5年が過ぎた今でも、手紙にこめられた悪意にはがく然とすると語った。
ある手紙には、「おまえと仲間のブタ野郎どもはみんな死んじまえばいい。さっさと国へ帰れ、ターバン野郎」とあり、別の手紙には、「この数年で邪悪なイスラム教ファシストどもが不快な勢いで増えている。私は一生をキリスト教徒としてささげ、世界をイスラム教徒から浄化するために何でもすることにした。願わくは、間違った方向に導かれた哀れなイスラム教徒どもを改宗させられますように」と書かれていた。
写真は、ニューヨーク・ブルックリン(Brooklyn)地区にあるアトランティック街(Atlantic Avenue)のイスラム系図書館と商店。この地域にはアラブ系の人々が多く住んでいる。(2001年9月13日撮影)
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