【4月25日 AFP】27日に本戦が始まる2011世界フィギュアスケート選手権(ISU World Figure Skating Championships 2011)を控え、浅田真央(Mao Asada)と高橋大輔(Daisuke Takahashi)は東日本大震災で負ったトラウマを乗り越え、大会連覇とともに達成すべき目標に再び焦点を合わせている。

 東京での自国開催予定だった選手権は、3月11日の東日本大震災と原発事故のためモスクワ(Moscow)での代替開催となり、開幕は約1か月遅れた。

 2010年の世界選手権(ISU World Figure Skating Championships 2010)で男女アベック優勝を飾った浅田と高橋は、日本代表の他の4選手とともにモスクワでのメダルをかけた戦いが被災者を元気付ける手助けになるよう願っている。

 浅田は「最初、世界選手権が中止になって少しだけ落ち込んでしまいました。1週間くらい休んでから十分練習しましたし、今はポジティブな気持ちで戦うことが出来ます。全身全霊をかけて滑る私を見てもらうことで少しでも被災者の方に気分転換してもらいたいです。私に出来るのはそれだけです」と語っている。

■浅田・安藤、金妍児に挑む

 浅田は、2010年バンクーバー冬季五輪で金メダルを獲得した金妍児(Yu-Na Kim、キム・ヨナ)と優勝を争うライバル対決を再開することになる。2009年の世界選手権(ISU World Figure Skating Championships 2009)で優勝した金妍児は、トリノ五輪の1か月後に行われた2010年大会では浅田の後塵を拝し、2位に終わった。金妍児は、同世界選手権から約1年ぶりの実戦復帰となる。

 日本人選手では2007年の世界選手権(ISU World Figure Skating Championships 2007)を制した安藤美姫(Miki Ando)も金妍児への挑戦に準備を整えている。安藤は2010-11シーズン、中国杯(ISU Grand Prix of Figure Skating Cup of China 2010)とロシア杯(Cup of Russia)で優勝を果たし、自己最高の201.34点で四大陸選手権(ISU Four Continents Figure Skating Championships 2011)も制した。金妍児の自己最高得点は228.56点、浅田は205.50点となっている。

 今シーズンの浅田は自身のトレードマークであるトリプルアクセルで苦しんでいる。いまだに無冠ながら全日本選手権で2位に入り、世界選手権出場の切符を手にした。女子日本代表のもう1人は、昨季の世界ジュニア選手権を制し、今季はスケート・アメリカ(Skate America 2010)で優勝を飾って評価を上げた村上佳菜子(Kanako Murakami)となっている。

■高橋のライバルはチャン・織田・小塚か

 一方の高橋は、トリノ五輪フィギュア女子シングル金メダリストの荒川静香(Shizuka Arakawa)と神戸でチャリティーアイスショーに出演した。震災のことを考えないようにして大会に集中することは難しかったという高橋は「試されているのかな」と語り、被災者を元気付けるために「演技の時には気持ちや、今の自分にできる100パーセントを出し切る」と決意を固めている。

 2008-09年のシーズンを膝のけがで棒に振った高橋は、2009-10シーズンに日本の男子選手としては過去最高の成績を挙げた。バンクーバー冬季五輪では日本人男子史上初のメダルとなる銅メダルを獲得。同年の世界選手権では、バンクーバーの金メダリストのエヴァン・ライサチェク(Evan Lysacek、米国)と銀メダリストのエフゲニー・プルシェンコ(Evgeni Plushenko、ロシア)が欠場する中、優勝を果たした。

 今シーズンの高橋は、NHK杯(NHK Trophy 2010)とスケート・アメリカの制覇後に調子を崩し、パトリック・チャン(Patrick Chan、カナダ)が優勝したGPシリーズ・ファイナル(Figure Skating Grand Prix Series Final 2010-11)では4位に終わったが、四大陸選手権ではジャンプの精度を上げていた。

 ライサチェクがいまだに五輪後の休養中で、プルシェンコが出場停止処分中のため、高橋のライバルはチャンや、同じ日本代表の織田信成(Nobunari Oda)と小塚崇彦(Takahiko Kozuka)になるとみられている。(c)AFP/Shigemi Sato