【2月10日 AFP】現役復帰を果たし、2010年1月に行われたフィギュアスケート欧州選手権(ISU European Figure Skating Championships 2010)で優勝したエフゲニー・プルシェンコ(Yevgeny Plushenko、ロシア)が、2010年バンクーバー冬季五輪で若手選手を破るだけの力を持っていることを証明する、最大のチャレンジに直面している。

 トリノ五輪金メダリストのプルシェンコは、五輪連覇を夢見て引退を撤回したが、バンクーバー五輪では出場するライバルのうち少なくとも7選手に金メダル獲得の可能性がある。欧州選手権で6度目の優勝を飾った後、プルシェンコは「誰もが同じで、どの選手も強い」と語っている。

 2002年のソルトレイク五輪で銀メダルを獲得したプルシェンコは、その4年後に圧倒的な大差で金メダルを獲得している。しかし、世界選手権で3度優勝しているプルシェンコは、ひざの負傷のため引退を余儀なくされた。

 五輪で2度目の金メダル獲得という誘惑により復帰を果たしたプルシェンコは、エストニアのタリン(Tallin)で行われた欧州選手権でステファン・ランビエール(Stephane Lambiel、スイス)やブライアン・ジュベール(Brian Joubert、フランス)のパフォーマンスが伸び悩んだ中、合計255.39点を記録し、2位のランビエールに16.85点差をつけて優勝した。

 5大会連続でロシア人選手が五輪金メダルを獲得できると考えているプルシェンコは、4年前との違いについて「最近の方が気分が良い。それが違いかな。僕の妻は復帰を断言していた。僕に欠けていたのはそういった特別な感情だったのかもしれない」と話している。

 しかし、プルシェンコが09世界フィギュアスケート選手権(ISU World Figure Skating Championships 2009)王者のエヴァン・ライサチェク(Evan Lysacek、米国)や、全米選手権(AT&T U.S. Figure Skating Championships 2010)王者のジェレミー・アボット(Jeremy Abbott、米国)に対し、どれだけのパフォーマンスを見せることができるかは現時点では分からない。

 けがから復帰したランビエールは、フィギュアスケートでスイス人初の王者となり、トリノでは銀だったメダルの色を金に変えたいと考えている。また、高橋大輔(Daisuke Takahashi)や織田信成(Nobunari Oda)、カナダのパトリック・チャン(Patrick Chan)、チェコのトマシュ・ベルネル(Tomas Verner)、元世界王者のジュベールも表彰台の中央を狙う力を持っている。

 1月の欧州選手権では3位に終わったジュベールは、「ライバルを飲み込む」準備はできているとけん制しており、「精神的な打撃を受けて追い詰められた状態に自ら身を置き、それに対処する必要があった。もう一度自分のファイティングスピリットを見つけた」とコメントしている。

 高橋と織田は、日本人選手として五輪の男子フィギュアスケート史上初となるメダル獲得を何よりも目指している。織田は、09-10フィギュアスケートGPシリーズで2勝(第1戦エリック・ボンパール杯(Trophee Eric Bompard 2009)と第3戦中国杯(Cup of China 2009))を挙げて好調を示していたが、第78回全日本選手権を制したのは、ひざの手術のため2008-09シーズンを棒に振った高橋だった。

 2009年の世界選手権で準優勝のチャンは、ふくらはぎの負傷から立ち直り、開催国の母国カナダで金メダルを狙うが、4回転ジャンプなしではその可能性も低くなってしまう。

 プルシェンコは「過去2度の世界選手権では、4回転ジャンプなしで優勝が決まっているけれど、それは起こりはしないだろう。僕は、4回転ジャンプを2度やるつもりだ」と語っている。

 男子フィギュアスケートは16日にショートプログラム(SP)、18日にフリースケーティング(FS)が行われる。(c)AFP/Emmeline Moore