【6月10日 AFP】全仏オープンテニス(French Open 2013)男子シングルスを制覇したラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)は、負傷から必死に再起しようと戦い続けていた7か月の間、大会8度目の優勝はかなわぬ夢だったと語った。

 ナダルは同胞ダビド・フェレール(David Ferrer)に6-3、6-2、6-3で勝利を収め、史上初となるメジャー同一大会8勝目を達成した後、会場のローラン・ギャロス・スタジアム(Stade Roland Garros)に掲げられたスペイン国旗を目にして涙を流した。

 約1年前、ウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2012)でまさかの2回戦敗退を喫した後、ナダルはロンドン五輪、全米オープン(The US Open Tennis Championships 2012)、全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2013)を左膝の状態が万全ではなかったため欠場した。

 故郷マヨルカ(Mallorca)で十分な休養をとっていたナダルにとって、この日の歓喜は水平線のはるかかなたの事のように思えていただろう。

 ロイ・エマーソン(Roy Emerson)氏と並ぶグランドスラム通算12度目の優勝を飾った27歳のナダルは、「今はとても感情が高ぶっている。この勝利は僕にとって非常に重要なものだ」と語った。

「個人的にはとても満足しているし、たくさんの人のおかげで今僕はここにいる。今までの優勝と比べるのは難しいけれど、今年は格別というのが本音だ」

「5か月前、こんなことは夢にも思わなかった。優勝など不可能だと思っていた。でも今ここにこうしているのは信じられないほど素晴らしいことだ」

 ナダルは、ツアーから離れた時間が深い自己分析と復帰への意欲の減退をもたらしたと明かした。

「僕はポジティブな人間だけれど、不安は人生の一部だ。不安がないと言っている人は傲慢だ。なぜならこの世の中ではっきりしている事など何も無いのだから。だから僕はここに戻ってくるためにできる限りの努力をしなければならなかった」

 コートに戻ってくる鍵となったのは、マヨルカにこもっている間の大部分の時間、テニスから離れていたことだったとナダルは言う。

「以前に比べて調子が上がったとは思わない。僕は自分が今までのキャリアで身につけたパーツを整え直した感じがする。でもそれは普通のことだ。なぜなら僕は過去にやってきた量ほどは練習をしなかったからね」

「この8週間、僕の練習は実戦だった。僕がここに戻ってくるためにそれが正解だったのかはわからない。復帰した直後は動きがとても悪かった。でも数週間すると動きも良くなり正しい強度で動作できるようになった。そしてそれがテニスに生かされたんだ」

(c)AFP/Dave James