【8月29日 AFP】31日に開幕する全米オープンテニス(The US Open Tennis Championships 2009)でロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)は、84年ぶりの大会6連覇に挑戦する。

 全米オープンで最後に大会6連覇が達成されたのは、1925年のビル・チルデン(Bill Tilden)氏にまでさかのぼる。 
 フェデラーは新たな若手選手の波が自身に近づきつつあり、ニューヨーク(New York)の騒々しさの中で戦う難しさを理解しているが、体調は万全で王座を再び手にする準備は整っていると主張している。

 その証拠に、フェデラーは前週末のウェスタン&サザン・ファイナンシャル・グループ・マスターズ(Western & Southern Financial Group Masters 2009、以下WSファイナンシャルグループ)で、アンディ・マレー(Andy Murray、英国)とノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)からストレートで勝利を収めている。

 全仏オープンテニス(French Open 2009)とウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2009)を制してピート・サンプラス(Pete Sampras、米国)氏のグランドスラム(4大大会)最多優勝記録(14勝)を更新し、世界ランキング1位の座をラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)から奪還、さらにはミルカ(Mirka)夫人が双子の娘を出産するなど、2009シーズンのフェデラーの夏は記録ずくめとなっている。

 5月以降でフェデラーは、ロジャーズ・カップ(Rogers Cup 2009)準々決勝でジョーウィルフリード・ツォンガ(Jo-Wilfried Tsonga)に唯一の敗戦を喫しているが、ウィンブルドンの5連覇が止まり、世界ランキング1位をナダルに奪われ、調子を取り戻すことができず迎えた北京五輪で準々決勝敗退に終わった2008シーズンのこの時期とは対照的なシーズンを送っている。

 2003年大会の4回戦でダビド・ナルバンディアン(David Nalbandian、アルゼンチン)に敗れて以降、大会35連勝を記録しているフェデラーは、全米で勝つには何が必要なのかを間違いなく理解している。

 前回大会とは異なり、フェデラーの今大会での最大の脅威は、全仏オープンでロビン・ソデルリング(Robin Soderling、スウェーデン)に敗れた後、両ひざの治療のため10週間欠場し、復帰したばかりのナダルではないと見られており、ナダル自身も身体的、精神的にまだ万全の状態ではないことを認めている。

 ナダルに代わり、今大会ではマレーとジョコビッチがフェデラーの前に立ちはだかるものと見られている。マレーは前回大会の決勝で、ジョコビッチは2007年大会の決勝でフェデラーに敗れている。

 特にマレーはすでにシーズン5勝を挙げ、ナダルから世界ランク2位の座を奪い、フェデラーに対しては6勝3敗の成績を収めているが、前回大会の決勝とWSファイナンシャルグループの準決勝ではストレート負けの屈辱を味わっている。

 これに対しマレーは、ロジャーズ・カップで優勝し、WSファイナンシャルグループでは準決勝に進出するなど大会に向け「完璧な準備」ができたとし、体調面は前回大会より著しく向上していると語っている。

 ジョコビッチも今大会に合わせてトップフォームを取り戻している。その証拠に、WSファイナンシャルグループの準決勝ではナダルにストレートで勝利しており、ジョコビッチはトッド・マーティン(Todd Martin)コーチの存在が、2008年の全豪オープン(Australian Open Tennis Tournament 2008)に続く2度目のグランドスラム制覇の援護射撃になると考えている。

 また、開催国の米国のチャレンジを牽引するのは、フェデラーの連覇が始まる前年の2003年大会で優勝を果たしたアンディ・ロディック(Andy Roddick)となる。

 ロディックは結婚と新たなフィットネス体制の導入で大きく復活を遂げており、これは7月のウィンブルドン選手権の決勝でフェデラーと5セットマッチを演じたことに集約されている。(c)AFP/Allan Kelly