【11月26日 AFP】「あの国旗のあしらい方は不適切だ」――。中国・広州(Guangzhou)で開催中のアジア大会(Asian Games)で、シンガポールの男子水球チームが着用している水着のデザインに母国の政府が苦言を呈し、物議を醸している。

 シンガポール国旗をあしらったこの水着は、赤地に白抜きで月と5つの星を配置したデザインだが、着用すると、ちょうど中央の部分に三日月形の模様がくる。「セクシーでクール」と賞賛するシンガポール人も多いが、国旗に対する冒涜(ぼうとく)と受け取る人も少なくない。

 シンガポール政府は後者だった。同国の情報通信・芸術省は25日、報道声明で「残念ながら、わが男子水球チームは水着のデザインを考案する際に、国旗の使用に関する政府勧告を参照しなかった」と、チームを非難した。「国旗は、尊厳をもって扱われねばならない。(事前の照会さえあれば)政府は、現行の水着デザインは不適切だとチーム側に申し入れただろう」

 ちなみにシンガポールには、国旗の掲揚について厳密に定めた規則がある。

 しかし、27日に閉幕するアジア大会の規則では、2週間の開催期間中にユニフォームのデザイン変更は認められない。

 水着デザインにも関与したシンガポール水球チームのサミュエル・ウォン(Samuel Wong)監督は、英字紙ストレーツ・タイムズ(Straits Times)に対し、物議を醸したことを謝罪。「シンガポールを茶化したり侮辱するような意図はみじんもなかった」と釈明した。

 水着問題は報道されるや否や、シンガポールのインターネット上をもにぎわせている。「無礼千万だ、むかつく」との怒りの書き込みもあれば、「かっこいいと思うね!ぼくも水泳をするけど、同じ水着がほしいな。(水球チームの)みんな、がんばれ!」との好意的な書き込みも見られる。(c)AFP