【9月8日 AFP】国際オリンピック委員会(International Olympic CommitteeIOC)は8日、アルゼンチンのブエノスアイレス(Buenos Aires)で行う総会で、2020年夏季五輪の追加競技を決定する。レスリングは、その立場を完璧に回復して競技復帰を果たす最有力候補と見られている。

 最終候補には3度目の挑戦となるスカッシュ、2008年の北京五輪以来となる競技復帰を目指す野球・ソフトボール、そして、古代五輪の時代から実施され続けてきた数少ない競技の一つであるレスリングが残っている。

 2月に行われたIOCの15人による理事会で除外が決定したレスリングは、その後小さな改革を遂げてきている。

 競技除外決定後に国際レスリング連盟(International Wrestling FederationFILA)の会長に選出されたネナド・ラロビッチ(Nenad Lalovic)氏は、全ては投票に懸かっていると語った。

「いろいろ耳にしていて楽観的になるが、投票はまた別のことだ。選ばれなければ、彼ら(スカッシュ、野球・ソフトボール)よりもさらに残念に思う。そして、大きな問題を抱えることになるだろう。レスリングはただのスポーツではなく、多くの国では伝統的なもの。そういった国の中では、特に貧しい国で、社会問題になる恐れもある」

 一方で、スカッシュは10年にわたり戦っている。2005年には追加リストで最上位に入ったものの、現在の過半数と違い、当時は3分の2以上の得票が義務づけられていたため、実施競技に追加されることはなかった。

 世界スカッシュ連盟(World Squash FederationWSF)のナラヤナ・ラマチャンドラン(Narayana Ramachandran)会長は、大きなチャンスができる可能性もあった近代五種ではなく、レスリングが除外競技となったことは追い風にならなかったとしながらも、全ての希望を捨ててはいないという。

 ラマチャンドラン会長はAFPに対し「私は永遠に楽天的です。スポーツはスポーツであり、私は政治に介入しません。前に向けて最高の一歩を踏み出し、最高の一面を見せます。敗れても、謙虚な気持ちでそれを受け入れます」と述べている。

 野球・ソフトボールは全体的に苦しい戦いを強いられているが、候補3競技の連盟・協会の副会長の中で、最も名の通った人物がいる。キューバのフィデル・カストロ(Fidel Castro)前国家評議会議長の子息であるアントニオ・カストロ(Antonio Castro)氏だ。

 自身の野球キャリアの序盤に膝を負傷し、皮肉にもその後整形外科医となったアントニオ氏は、キューバ国民にとって、野球が五輪の競技に復帰することは極めて重要だと述べた。

「野球は、キューバのスポーツの頂点に位置しています。チームでプレーしている人々にとっては、社会基盤の一部です。社会制度にとって野球は非常に重要なのです」

(c)AFP/Pirate Irwin