【3月5日 AFP】2020年夏季五輪の開催を目指す東京で4日、国際オリンピック委員会(International Olympic CommitteeIOC)の評価委員による調査が始まり、安倍晋三(Shinzo Abe)首相は歓迎セレモニーで、1964年にアジアで初めて五輪を行った東京が再び開催地として選出された暁には、他の都市を鼓舞するだろうと語った。

 政府による五輪招致の「完全」な支持を確約した安倍首相は評価委員に対し、五輪開催は「生涯の夢」と述べ、「2020年の東京五輪は1964年に開かれた東京五輪のように多くの人に刺激やひらめきを与えるだろう」とアピールした。

 評価委員長を務めるIOCのクレイグ・リーディー(Craig Reedie)副会長ら14人の同委員会は、東京の五輪計画の調査や、既にある開催予定会場などの4日間かけて視察する。

 かつてアーチェリーの選手で、現在は全日本アーチェリー連盟(All Japan Archery Federation)の会長を務める安倍首相は、日本を成長させた精神は、五輪精神と等しい物だと力説。1964年にはアジアで唯一産業国家だった日本に、アジアの成長に貢献しなければいけないという使命感を抱かせたのは五輪精神だったと語った。

 また、日本が抱えている問題の数々は早晩他の諸国も等しく直面することになるため、高齢化や環境問題からの回復を見せるためにも「聖火のたいまつはもう一度東京へやって来なくてはならない」と訴えた。

 安倍首相の祖父で、1957年~60年に内閣総理大臣を務めた岸信介(Nobusuke Kishi)元首相は、第2次世界大戦後のアジアの復興時に1964年東京五輪の招致に一役買った。

 開催候補地の中で唯一過去に五輪を開催している東京は、その経済力と過去に大規模な国際スポーツ大会を開催した実績に基づきながら、「コンパクト」かつ「ダイナミック」な五輪大会開催を計画している。

 また、厳密な建設規約にのっとって建てられている東京の建築物は大地震に耐久性があることや、2011年の福島原発事故の影響を受けたにも係わらず、東京の放射線量は比較的低いという点も強調した。

 同日には東京都の猪瀬直樹(Naoki Inose)知事が、スポーツに携わっているIOCの委員に自身もスポーツを愛していることを伝えるため、開催予定地の一つである有明コロシアム(Ariake Coliseum)で評価委員を前に、ロンドンパラリンピックの男子テニス・シングルスの金メダリスト、国枝慎吾(Shingo Kunieda)選手とテニスをプレーした。

 6人の投票委員と数人のアドバイザーを擁する評価委員会は、東京に次いで、他の候補地であるスペインのマドリード(Mardid)、トルコのイスタンブール(Istanbul)での視察を予定しており、現地では1月に各都市の招致委員会から提出された都市のインフラ設備や経済状況、五輪開催に対する政府や市民からの支援など14項目についてのレポートの確認作業を行うこととなっている。

 評価委員会は開催地選出の投票を行う101人のIOC委員に報告書を提出し、9月7日にブエノスアイレス(Buenos Aires)で開催地が選出される。(c)AFP/Shigemi Sato