【2月21日 AFP】国際オリンピック・アカデミー(International Olympic AcademyIOA)のイシドロス・クベロス(Isidoros Kouvelos)会長は20日、国際オリンピック委員会(International Olympic CommitteeIOC)に対して五輪の歴史の草創ともいえるレスリングを2020年夏季五輪の実施競技除外候補から外すよう求めた。

 IOCのジャック・ロゲ(Jacques Rogge)会長に宛てた書簡でクベロス会長は「レスリングは五輪の理念から切っても切り離せない存在であり、このように歴史ある種目が実施されない大会なんて考えられない。また、こうした歴史的ルーツを尊重しない五輪には断じて未来などないだろう」と述べた。

 ギリシャの派遣団の代表としてロンドン五輪に参加し、国際地中海競技大会委員会(International Committee of Mediterranean Games)の事務局長も務めるクベロス氏は、IOCの理事15人が12日に開かれた理事会においてレスリングを除外候補に選定し、ほかのIOC委員にも追従するよう促したことに悲痛な思いを抱いたという。

「何世紀にもわたって変わらず残ってきた五輪の伝統に対する配慮を持ち合わせていると理解しているゆえ、IOCがスポーツ界全体の声に耳を傾け、今回下した決断を再考し、大いなる過ちを正すと確信している」

さらにクベロス会長は「五輪の伝統からの逸脱につながるような現代の意見に屈してはならない」とロゲ会長に呼びかけた。

 IOCによって1949年に創設されたIOAは、IOCより命を受けたギリシャ五輪委員会(Hellenic Olympic CommitteeHOC)が運営を担っており、五輪の思想を学問的に深め、普及することを目的としている多文化で学際的な機関。(c)AFP