【9月24日 AFP】元陸上短距離選手のベン・ジョンソン(Ben Johnson)氏が24日、25年ぶりに韓国のソウル(Seoul)にある五輪スタジアムを訪れた。

 このスタジアムは1988年ソウル五輪の会場で、自身の輝かしいキャリアや名声を破滅に追い込んだ地でもある。

 ジョンソン氏は同五輪の100メートル決勝を制して金メダルに輝いたが、その後ステロイド剤の使用が発覚してメダルを剥奪された。

 栄光の絶頂とどん底の両方を味わった思い出の地でジョンソン氏は、いまだに禁止薬物の使用を根絶できていないスポーツ界においてアンチ・ドーピングのメッセージを伝えた。

 1988年9月24日、後に「史上最も汚いレース」と呼ばれることとなる男子100メートル決勝のスタートラインにジョンソン氏は立った。まさにそのトラックに再び足を踏み入れた同氏は、「戻ってくることができてうれしい」と感想を述べた。

「ここは歴史が生まれた場所だ。悪しき歴史と言う人もいるけど、私はそうは思っていない」

 スタートから抜け出したジョンソン氏は、当時最大のライバルだったカール・ルイス(Carl Lewis)氏を含めて誰も寄せ付けることなく、9秒79という世界新記録で金メダル獲得を決めた。

 しかしその3日後、アナボリック・ステロイド(anabolic steroid)、スタノゾロール(stanozolol)といったステロイド剤の使用による陽性反応が出たことで金メダルと世界記録が剥奪され、最終的にはこれをきっかけに選手生命が断たれた。