【7月19日 AFP】アジアに遠征中のイングランド・プレミアリーグ、アーセナル(Arsenal)のチームバスを5マイル(約8キロメートル)にわたり追いかけたベトナム人男性が18日、同クラブからロンドン(London)での試合に招待されたと明かした。

 クラブの公式サイトには16日、アーセナルのユニホームを着て、白いスニーカーを履いたこの男性が、ハノイ(Hanoi)市内を進むチームバスを追いかけ、選手たちが歓声を上げながら「彼と契約を結べ、契約を結べ」と歌う様子を映し出した動画が掲載された。

 数マイルの道のりを走った後、男性は今度はバイクの後ろに乗ってバスの側に現れ、選手たちからは大きな笑い声が聞かれた。

 男性は、ついにバスの中に招かれると選手と記念撮影し、さらにユニホームにアーセン・ベンゲル(Arsene Wenger)監督のサインをもらった。

「ランニングマン」という愛称で呼ばれるようになったこの男性、ブー・スァン・ティエン(Vu Xuan Tien)氏は、「バスの中に入れてもらって、監督や選手、そして自分のアイドルであるミケル・アルテタ(Mikel Arteta)と会えて、夢がかないました」と話し、チームと対面できて「とてもラッキーだった」と付け加えた。

 ブー氏がベンゲル監督やアーセナルの選手と一緒に写った写真は、ベトナムの国営メディアや、海外の報道機関によって幅広く公開された。

 またハノイでの滞在期間中、ブー氏はクラブのマスコット的存在となり、17日に同市のミーディン・スタジアム(My Dinh stadium)行われた親善試合では、試合開始前の選手入場の際、チームをピッチに先導する役割を任された。

 一夜にしてメディアでセンセーションを巻き起こした同氏は、「ロンドンの本拠地エミレーツ・スタジアム(Emirates Stadium)でのアーセナルの試合にも招待されました。8月か9月くらいに行くかもしれません。本当に信じられない。人生で一番嬉しいです」とも話した。

 アーセナルのGKヴォイチェフ・シュチェスニー(Wojciech Szczesny)は、「本当に夢を追いかけようとすれば、実現することもある。みんなへのそんなメッセージなんだろうね」とコメントしている。

 ブー氏をロンドンに招待した件に関して、クラブからは直接コメントは得られていない。

 欧州サッカーはアジアで絶大な人気を誇っており、ブー氏の動画は、現地ファンのプレミアリーグに対する熱意を物語っている。

 親善試合のチケットを手に入れようとファンは徹夜で並び、当日スタジアムは熱狂的なサポーターで埋め尽くされた。多くはアーセナルのユニフォームを着ていたが、同時にベトナムの国旗を手で振っていた。

 ここ1週間、アーセナルの他にもマンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)とチェルシー(Chelsea)がアジアでプレシーズンツアーを行っており、どのチームも各地で大スターのような歓迎を受けている。(c)AFP