【3月18日 AFP】イングランド、FAカップ2011-12(FA Cup 2011-12)は17日、準々決勝の試合が行われ、トッテナム・ホットスパー(Tottenham Hotspur)とボルトン・ワンダラーズ(Bolton Wanderers)の試合は、ボルトンのファブリス・ムアンバ(Fabrice Muamba)が倒れたため、前半途中で中断された。

 コンゴ民主共和国のキンシャサ(Kinshasa)出身で、11歳の時に家族とともに英国に移住した23歳のムアンバは、1-1の同点で迎えた前半40分過ぎに前触れなくピッチに倒れた。メディカルスタッフによる蘇生処置を受けたムアンバは、酸素マスクを装着した状態でピッチから運ばれ、ロンドン(London)市内の病院に搬送された。

 選手とサポーターは悲痛な面持ちでメディカルスタッフによる応急措置を見守り、スタジアムのサポーターはムアンバの応援歌を歌った。選手の中には涙を浮かべる者もおり、事の重大さは明らかだった。

 その後、ハワード・ウェブ(Howard Webb)主審は選手を控室に戻して試合中止を発表し、ボルトンのオーウェン・コイル(Owen Coyle)監督と主将のケヴィン・デイヴィーズ(Kevin Davies)は病院へ向かった。

 ボルトンと搬送先のロンドンチェスト病院(The London Chest Hospital)は共同で声明を発表し、ムアンバが集中治療室に運ばれたことを明らかにした。

 ボルトンは声明で「ボルトン・ワンダラーズは、ファブリス・ムアンバがロンドンチェスト病院にある心臓発作センターの集中治療室に運ばれたことを確認しました。現在は危篤状態にあります。詳細を現時点で発表することはできません。クラブと病院は、家族のプライバシーを尊重することを望みます」と発表している。

■同僚や他チームの選手、関係者からムアンバの回復を祈る声

 突然の出来事に、ツイッター(Twitter)にはムアンバの容態を心配する書き込みが殺到した。

 ムアンバのチームメイトであるスチュアート・ホルデン(Stuart Holden)は、「ファブ(ファブリスの愛称)のために祈っている。回復することを願う。心は彼と彼の家族と共にある」と書き込んだ。

  現場に居合わせたトッテナムのジャーメイン・デフォー(Jermain Defoe)は、「神様がファブを救ってくれるよう祈ろう、ファブのために」と発信し、同じくトッテナムのトム・ハドルストーン(Tom Huddlestone)は「ファブと家族に想いを送る。事態を目の当たりにするのは耐えられないし、いろいろなことを広い視野で見なければならない」と書き込んだ。

 他のチームの選手からもメッセージが寄せられている。

 マンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)のリオ・ファーディナンド(Rio Ferdinand)は「頑張れファブリス・ムアンバ。君ために祈っている」と書き込み、ボルトンに期限付き移籍した際にムアンバとプレーしたアーセナル(Arsenal)のジャック・ウィルシャー(Jack Wilshere)も「ムアンバが無事でありますように。気持ちは彼と共に」とツイートした。

 アーセナルでユース時代を共に過ごしたミドルスブラ(Middlesbrough FC)のジャスティン・ホイト(Justin Hoyte)は「親友の無事を心から願っている。お願いだから頑張って、強いままでいてくれ。神はあなたの側にいる」と送った。

 また、元イングランド代表で現在米スポーツ専門チャンネルESPNのコメンテーターを務めるジョン・バーンズ(John Barnes)氏は、「両チームの選手の反応を見る限り、とても深刻な状態のようだ」と書き込み、元イングランド代表監督のケビン・キーガン(Kevin Keegan)氏は、「トッテナムのデフォーがひどく動揺していたのが印象的だった。サポーターもショックを受けている。あのような光景をピッチで見たことはなかった。彼の家族を想う」とコメントした。(c)AFP/Rob Woollard